Dr.北村の「性」の診察室ブログ

2012年8月17日

若者の草食化が一段と進む

 前回同様、島根県松江市で開催された第12回アジア・オセアニア性科学学会からの話題です。2010年に僕自身が実施した「第5回男女の生活と意識に関する調査」で明らかにした「草食男子一段と進む」。これを裏付ける調査結果が改めて発表されたのです。しかも、草食化は男性だけではありませんでした。

 日本性教育協会が実施した「わが国の中学生・高校生・大学生に関する第7回調査報告」がこれを明らかにしています。第1回目が1974年、以降81年、87年、93年、99年、2005年とほぼ6年間隔で行われてきたこの調査は、今回で7回目を迎えています。調査対象者は、都市規模ごとに調査地点を11地区選定、さらに人口規模で分け、地域規模や学校種別、生徒数などを考慮して中学校9校、高校11校を選んで、最終的に中学生2,504名、高校生2,578名、大学生2,600名の合計7,682名。

 注目すべきは性交経験の推移をみたものです。男子大学生については、性交経験率は74年から93年にかけて23%から57%と大幅に増加したものの、99年以降は63%程度で停滞し、性行動の活発化に歯止めがかかっています。これに対して女子大学生は、87年から93年にかけて26%から43%と大幅に伸びた後、99年には伸び率が低下するものの、2005年になると再び経験率が一挙に伸びています。しかし、11年には男子だけでなく女子においても性交経験率が大幅に低下し、05年に比べて男子で9ポイント、女子で16ポイント近く性交経験者が減少しています。高校生についても同様で、男子では前回調査の27%から15%に、女子は30%から24%に減少していました。

 実は、この若者の草食化現象は今に始まったことではありません。このブログでも、「セックス嫌いな若者たち」で取り上げたことがありますが、僕の全国調査は、2年前の2010年のこと。2002年に第1回目をスタートさせたこの調査では、第4回(08年)と第5回(10年)の調査結果に注目することになりました。表2のように、16~19歳の男性の何と36.1%が、セックスに対して「関心がない」もしくは「嫌悪している」と回答しています。この数値は、前回調査(08年)の17.5%から2倍強に増えていました。また、20~24歳の男性においても、08年の11.8%から10年の21.5%へとほぼ倍増。この時には、性欲とは男性ホルモン支配なので、女性が男性に比べて性欲が低いのは当たり前と決めつけて、男性の結果ばかりに目を向けてしまっていましたが、今回改めてみますと、女性では調査した全年齢で上昇していることがわかります。

 診療の現場で若者の性の実態を間近に見続けている僕としては、性行動に積極的なグループと消極的なグループの2極化が進んでいるのではないかと考えています。特に後者の特徴は、異性に限らず他者とのコミュニケーションを図ることを面倒だと考える人たちです。責任ある行動がとれないままに、性交開始年齢の低年齢化、加速化が進むことは歓迎できませんが、他者との関係を面倒だと考える若者が増えていっては日本の未来に夢も希望もなくなると不安になるのは僕だけではありますまい。

コメント

早く子どもが欲しいけど…
[日本の未来が心配です]2012年8月25日

以前どこかの新聞で「草食男子一段と進む」についての記事を読んだとき、日本の新聞はいつのまにこんなに堕落してしまったのかと呆れましたが、お医者様もこのような意見をお持ちと知ってびっくりしています。

私は、小学校~高校にかけて、「婚前交渉はすべきでない」と教えられた世代なので、「性交経験率が低い=草食化が進んでいる」という考え方が理解しがたいです。もちろん、恋人と安易に性交渉をしてしまう若者がほとんどであるという事実は受けとめているつもりですが、性交渉に興味が無いわけではないけれど結婚するまでは我慢している、という人も多いと感じています。もう少し、本音のわかるアンケートがあればと思います。

日本の道徳教育、性教育がどのように進んで行くのか、とても不安です。留学中にひしひしと感じた、日本人女性に対するイメージ(簡単に体を許す)の酷さが、先日のルーマニアの事件を招いたのではないかと思うと辛いです。それこそ、子育てに希望が持てなくて、子どもを持つことを躊躇してしまいます…

時間、場所等の配慮ひとつで変わる
[人の気持ちは変わるもの]2012年8月23日

実際に聞いたのですけど。
今の若者は車は欲しくないという話題。
でも、本人達は車を持つ環境であれば欲しいんですと。「今は」いらないと言ってるだけらしいです。

セックスも同じではないかという事ですよね。
相手からのうらぎりとか、男女のかけひきとかの情報を知ってしまうと、「今は」セックスをするべき環境じゃないと。
それを質問に対して答えているのでは?

質問をする時に、こういう条件ならと複数条件をだしてセックスをしたいかどうか聞いてみるのも一考だと思います。
「関心がない」とか「嫌悪している」とかの答えのチャンスがあれば、セックスで本来の快感を経験していなければ、その答えをいうしかないでしょう。

精神的に満たされたセックスの経験ができない今の現状が出ているだけかと。
これを海外のリゾートでアンケートする、都会の朝の通勤時とか夕方とかいろいろと、場所や時間を変えての集計もいいと思います。

答えを出す人の飲酒や疲れ具合でも答えに若干のバラツキがでるでしょうから。ファッションホテルから出て来た人を対象にしたデータは、そのホテルのサービス向上に使われていると思います。
どういうタイミングでデータをとるかも考慮すれば落胆する事はないんじゃないですか。

大変失礼しました。
[寺田次郎 元関西医大放射線科]2012年8月21日

ネット検索のときに勘違いしてたみたいですね。
すいません。

関東医科大学ですか・・・そういえば、ありそうで、ない名前ですよね。
浪速大学みたいな感じですね。

さらに勉強致しましょう
[現関東医科大学]2012年8月21日

ちなみに中絶件数が表に出てるだけでも30万人らしいですね。
本音(現実)と建前(アンケート) のギャップは案外大きいかもしれないですよ(笑)。



2010年度の人口妊娠中絶実施は212665件と公表されています。
さらに勉強致しましょう。
(2010年度は東日本大震災の影響により、福島県相双保健福祉事務所管轄内の市町村が含まれていない)

現代は限りなく未知の世界。
[寺田次郎 元関西医大放射線科]2012年8月21日

前回ブログも拝見させていただきましたが、性欲旺盛で、他に娯楽も少ない時代に育った北村先生からすると、今時の積極的でない男性は「理解しがたい」のですね。

ところで、「アイスクリームの歌」をご存知でしょうか?
簡単に言うと、その辺で売ってるアイスは昔は王子様でも食べられなかったものという趣旨の歌です。

ほんの何十年か前までは、どこの国でも「持たざる者」が大多数だったのが、今や先進国の大半はそれこそ「宇宙人」の
ような生活を享受しています。
テレパシー(携帯電話)や超能力(高速情報通信や機械)。
庶民の持つ財が増えたり、高度サービスの創出や低コスト化・・・・それらが、時間は限られるにせよ、王子様・王様を超える時間を庶民に与えました。

その結果として、根源的な欲求を満たすことに使われる時間やエネルギーが減るのは自然なことではないでしょうか?
また、そういった生活を続けるには余計ないさかいを起こすと不利益も多いので、よっぽど好きな方でないと頑張る意味も見つけにくいでしょう。

セックスをセックスだけで考えるのが不可能なのと同じで、性行動を性行動だけで考えるのは不可能です。
個人の生活は社会情勢や政治・経済と結びついているのですから。

ちなみに中絶件数が表に出てるだけでも30万人らしいですね。
本音(現実)と建前(アンケート) のギャップは案外大きいかもしれないですよ(笑)。

女性の本音じゃないの
[きもちいいセックスしてます]2012年8月21日

女性の本音をきく機会ってそうないですよね。
でも、聞くとセックスに嫌悪とかの意味は、相手が下手だからと聞こえます。
男性に言っても無駄と女性は思っているかもしれません。男女の脳の構造の違いもありますから。
いつまでたっても男女は平行線で交わらない。
おかげで男女はいまも存在していますけど。

実際に既婚女性と話しをして、それじゃねと言われた経験があるのでこんなコメントになりました。ほんと本音を言ってくれる女性って貴重です。

フリーセックスはHIVなどの出現により夢やぶれていますから、セックスへの期待も薄れているでしょうから今回のデータもうなずける。

法律によって交配を決めてしまうのは集団生活では必要ですけど。それだけではたして十分なのか。遺伝学もふまえながらグローバル化を受け入れる時期なのかもしれません。

多言語が飛び交う日本、もうすぐかもです。
海外から日本をみるとそう思います。
セックスはコミュニケーションと学会がやっと動き出した日本。今後の日本はどうなるやらと専門科が心配するのはあたりまえでしょう。

若者の草食化が一段と進むの解釈に異議あり
[巷のおやじ]2012年8月18日

興味深いデータですが,解釈の最後のところには異論があります.
かつてのわが国の教育は,厳格に純潔教育がなされていましたが,多くの子供が生まれて人口の増加に繋がっていった事実があります.恐らくその当時データがあればずいぶん低い数字だったでしょう.今回提示されたデータの最初の1974年より遙か昔の話しです.
今回のデータはむしろ無手法な性行動をする若者が減ったと解釈すべきで,わが国の性に関する各種の情報が適切に伝わり始めたためと解釈でき,好ましい方法性にあると考えるのが妥当な気がします.
「日本の未来に夢も希望もなくなると不安になるのは僕だけではありますまい」は著者の独善的な解釈ではないでしょうか.

欲求の段階
[寺田次郎 元関西医科大学放射線科]2012年8月17日

僕はバリバリの草食系ですが、他者との関係が面倒な若者が増えるということと日本の未来に夢や希望が無くなることをイコールと捉えることには違和感を覚えます。
そもそも、他者との関係は面倒なのは昔からで、時代の変化に伴い「見える形」になっただけでしょう。
むしろ新たな社会の形を構築しに行く方が適当だとは考えます。

ところで、政府がヘルペスウイルスのワクチンの保証を始めたのは「できちゃった結婚」推進だと僕は考えています。
(めぞん一刻の管理人さん風に言えば「すきなだけおやんなさい、誰とでも」)
実際これだけ社会が進むと結婚のメリットよりデメリットの方が大きくて、うっかり妊娠くらいのきっかけがないと結婚の機会がありません。
実際身近でも「でき婚」は少なくありません。

また、こういう羞恥心や見栄との相関著しいアンケートは必ずしも真実とイコールではありませんし、努力をしても地域性(サンプル地域によるバイアス)もあります。

話が逸れましたが、人間として生まれた以上大抵の人には性欲があるわけで、昔みたいなどこで何をやっていても分からないならまだしもどこに人の目があるかわからない状態でリスキーな行動は取れません。

一部道徳に抵触しますし(人間性と動物性のどちらを重視するのかという話)、善良であればある程行動に移せないのが現在の草食系の人間の一部の考えだと思います。
確かに行為自体コミュニケーションの一つだとも考えられますが、「あとあと厄介」なものであるのも確かです。
それだったら、性欲をもっと高次の欲求で発散しようとする人間が増えるのは合理的だと思います。

捨てたもんじゃない日本
[メダル沢山とれてよかった]2012年8月17日

草食化がすすめば、一定割合で肉食化もでてきて不思議はないですよね。

あとは、国外に出られた女性。
国内ばかりに目を向けて、がっかりじゃつまらないとは思うのですけれど、いかがでしょうか。

コミュニケーションが上手にできなのは、それなりに理由があると思います。
個々の性格もあるし、そのほかも。
複雑に絡んでいるので難しさ千倍ですね。

自然界がどうしてこういう比率や現象を起こすのか、これから希望をもってその解明をまちたいです。
いつしか自然との共生がうまくいく事に希望は捨てていないですから。

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北村邦夫(きたむら・くにお)
自治医科大学医学部卒業後、産婦人科医として保健所など衛生行政の分野で実績を積み、1988年から日本家族計画協会クリニック所長。
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