対談(2)笑う事、希望を持つ事で免疫力上がる
南 膠原病という難病が笑いで治ってしまうって、すごいお話ですよね。人間ってやっぱりそういう根源的な力が多分あるんでしょうね。免疫力も笑うことと関わっているのでしょうか。
鎌田 笑っている時の方が、がんと闘ってくれる「ナチュラルキラー細胞」の数が多くなるというデータがあります。もちろん、全員が笑いだけでは治らないので、薬で治療することが基本です。
もう一つ、希望を持つことで、免疫力が上がるとも言われています。
笑いとともに、希望を持っているということがすごく大事だと思います。希望を持っていることで免疫力が上がります。
2人の子の母のケース…命の不思議さ実感
2人のお子さんを持っている42歳のお母さんが、進行の早いスキルス胃がんになりました。余命3か月って言われて、諏訪中央病院の緩和ケア病棟に転院してきました。
一緒にお茶を飲んでいたら、「もう助からないのは、先生、説明を受けてわかっています。だけど、少し長生きさせてください」って言うんですね。そのとき9月でした。娘の卒業式まで生きたいと、お母さんは言いました。卒業式は3月ですよね。余命3か月って言われているんですけど、春まで生きたいと。
計算すれば12月ぐらいに、余命3か月だったらなっちゃいます。お母さんは自分のためじゃない、自分の子供のため、母親として卒業式を見てあげたいと思う。それが多分、ナチュラルキラー細胞、がんと闘ってくれる免疫のシステムにいい刺激を与えたんだと思います。ナチュラルキラー細胞を測定していないので、証明はされていません。でも、経験から、この考え方はとても大事だと思っています。6か月後、お母さんは卒業式に出ることができました。
だけれども、驚かされたのはその後なんですね。さらに1年、お母さんは生きました。全部で1年8か月生きました。2人お子さんがいて、年子だったんですね。お母さんが子供のために生きたいという思いは、何か変えるんですね、免疫というシステムをね。2人のお子さんの卒業式をお母さんとして見てあげることができました。
結局、僕たちはそのお母さんを助けてあげることはできなかったけれども、命の不思議さを実感しました。だから、科学的に、統計的に、あと3か月ですねって言われたって、わからないですよ。わからないことが起きることが人間の体です。だから、あきらめたり、投げ出さないっていうことはすごく大事なことです。希望を持つことはすごく大事なことです。(続く)
(2012年7月26日 読売新聞)
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