不妊治療受けた東尾理子さんインタビュー全文(3)「いつまでも産める」は誤解
――若い女性にメッセージはありますか。
「自らの反省も込めて、たくさんあります。女性が子どもをほしいと思うようになる年齢と、子どもを産む適齢期のギャップが10歳以上あって、それがどんどん開いていると感じています。女性は30歳、35歳、40歳を過ぎると妊娠率がどれだけ下がるのか。流産のリスクがどれだけあがるのか。染色体の異常が現れる確率がどれだけ上がるのか。
若い時に仕事をしてはいけないと言っているのではありません。20歳でこうした事実を知っていたら、私が別の人生を歩んだかと言われると、そうではないと思います。でも、そうしたことを知っていて自分の人生を選択するのと知らないで選択しているのとは違うと思うのです。避妊方法は学校で習うのに、そうした体のことは教わりません。
これは女性だけでなく男性も知るべきです。社会に出る前に知り、自分の道を選ぶ。人生の設計をする。仕事も大切ですが、女性と男性の体の仕組みを知ったうえで、人生の選択をするべきでしょう。最近は40歳を超えて産む人もいて、ああ、いつまでも産めるんだという誤解を生んでいるかもしれません。子どもを作るだけが人生ではありませんが、病院に通う人が増える中、お金もかかるし、病院に行く時間、肉体的、精神的負担も大変。それを知っておくのは大切です」
「不妊治療で病院に通うことは悪いことではありません。同じ不妊治療をしている人たちで話をしていると、自分を欠陥品と感じている人が多かった。堂々と胸をはっていればいいのに。妊娠するために努力をしているのだから」
――自らの不妊治療体験について、どんな反響がありましたか
「ブログのコメントや、街行く人から、自分も治療していますという反響の多さにびっくりしました。
一方、育児ノイローゼで悩んでいたのだけれど、子どもをぎゅっと抱きしめたくなったという反響もありました。子どもがいることが当たり前ではないと気づかされたということでした」
検査でダウン症の確率知ったが、確定検査は受けず
――妊婦の血液を採取し、胎児に異常がある確率を割り出すクアトロテスト(母体血清マーカー)を受け、おなかの赤ちゃんがダウン症の確率が82分の1あることがわかりました。検査を受けたのはなぜですか。
「血液検査を受けている感覚でした。色々な種類の障害を調べる血液検査という認識は薄かったです。強制ではなく自主的にやるものだと先生は説明してくれたかもしれないが、自分の頭に入ってきませんでした。血液検査なら受けようかなという感じでした」
――結果を聞いた感想は。
「事実を淡々と受け入れました。82分の1でダウン症の可能性があり、82分の81はそうではない可能性があるのだなと。私の年齢の通常より高い結果なのだなと。結果は先生から電話で聞きました。次に来るときまでに、検査の結果を確定させる羊水検査をうけるかどうか話しておいてくださいと言われました」
――羊水検査を受けなかったのはなぜですか。
「夫は羊水検査を受けることを勧めました。赤ちゃんに障害があった場合、私よりもずっと年上の夫が先にこの世を去る可能性が高く、私が一人になった時を心配してくれた
のです」
「ただ、自分の中では羊水検査は受けないと決めていました。検査を受ければ、赤ちゃんに障害があるかどうかわかります。では、結果がわかった時、中絶するのか。それは絶対にない、自分では絶対に産むつもりでした。夫もわかってくれました。私が意志が強いことをわかっているので。この時、母になる強さを感じました。この子を守ってあげられるのは私だけなのだと」(続く)
(2012年7月25日 読売新聞)
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