[休学や留年で引きこもる学生]経験者が居場所作り
せっかく大学に入っても、学業への意欲をなくし、休学や留年、中退してしまう学生がいる。こうした学生は、精神的な不調を抱えるケースがあり、引きこもりがちだ。孤立を防ごうと、休学や留年を経験した学生が自ら、安心して集える居場所作りに取り組み始めた。
悩み聞き合い、孤立防ぐ
「休学中は居場所がなく孤立し、生きるのがつらかった。自分と同じ苦しみを持つ学生がいることも知らなかった」
神奈川県の大学3年石本
石本さんは、4年前、就職活動でつまずき、うつ病になった。卒業後、フリーターを経て、現在の大学に再入学したが、昨年1月、講義や実習、アルバイトと多忙な時期に再び、心身に異変が起きた。眠れず、校門の前で、体がふるえ、足が止まった。うつ病と診断され、半年間休学した。治療を受けて回復し、昨年秋に復学した。
ちょうどその頃、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の学生意見交換会に参加した。自らのつらかった日々を振り返り、思い切って、休学生らの居場所作りを提案した。集まった学生も賛同し、「ライフリンク」の協力を得て、支援団体「ユースリンク」を作った。
メンバーは19人。主に休学や留年を経験した学生だ。活動の柱は、月1回、都内で開く集い「ボイス・シェアリング」。参加者とメンバーが5、6人に分かれ、近況や悩みを語り、聞き合う。運営メンバーの一人、大学2年柏原
全国の国立大学生の就学状況や死亡に関する調査では、休学や留年で5年以上在籍する学生の自殺率は、在籍が1~4年の学生と比べて高かった。2009年度に自殺した学生73人中、実に29人が休学や留年を経験した学生だった。
この調査を続けてきた精神科医で福島大教授の内田千代子さんは、「大学生は初めての一人暮らしやアルバイトで、生活が乱れ、進路の悩みもあり、精神的な不調が起こりやすい。それが、休学や留年につながる。友人ら周囲との関係を断ち、引きこもった末に、自殺を企てる例が多い」と話す。
休学や留年に至る前にも、支援する機会はある。事務職員が、履修登録の未提出者や長期欠席者を見逃さずに連絡し、必要に応じて、学内の保健管理センターなどにつなぐことが重要だ。
保健管理センターでは、精神科医やカウンセラーが、様々な相談に応じている。内田さんも今春まで、茨城大保健管理センターで学生の支援にあたっていた。休学してしまうと、周囲の目を気にして、学内に足を運ぶのをためらう学生も多く、接触がないまま、自殺してしまう学生の存在が問題になってきたという。内田さんは、「学外に、学生自らが居場所を作るのは画期的だ」と評価する。
学生にできることは、ほかにもある。内田さんは、自殺の兆候や、学内での支援体制を教える自殺予防教育の普及を目指す。「学生が自殺について学び、ひどく落ち込む、『死にたい』と口走るなど、友人の異変に気付き、手をさしのべることは、自殺予防の第一歩になる」と話している。(中島久美子)
| ボイス・シェアリング |
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| 休学生や休学を考えたり、生きづらさを感じたりしている学生なら無料で参加できる。予約不要。次回は21日午後2時、東京・飯田橋の富士見区民館で開催する。問い合わせは、電子メール(youthlink.vs@gmail.com)で。 |
(2012年7月19日 読売新聞)
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