日野原重明の100歳からの人生

2012年7月11日

在宅ケア患者に必要な口腔ケアとは何か

 日本では人口の高齢化が進み、65歳以上の人口はすでに23.1%(2010年国勢調査)となり、75歳以上の後期高齢者と呼ばれる老人の数は人口の11.2%、数にして1422万人、東京都の人口1322万人を上回っている。

 それらの老人のうち老人ホームに入所している者も少なくないが、在宅ケアを受けている老人の数もますます増えていく傾向にある。

 老人ホームや在宅でケアを受けている老人には、(1)食事の経口摂取の不良や、(2)摂食嚥下(えんげ)障害、(3)繰り返す気道感染のいずれかがしばしば見られる。

口腔内の問題が原因で、摂食不良に

 「義歯が合っていなかった」とか、「口内炎ができていた」など、口腔内の問題が原因して摂食不良になったりすることがある。

 一般に内科医は咽頭が赤いか斑点があるかは診察の最初に調べるが、口腔内の歯周炎などについては観察せず、その治療もしないことが多い。

 食事の後、食物の残りかすが口の中に残っていないか、口の中が清潔であるか、口は乾燥してはいないか、唾液の飲み込みが悪くないか、歯肉炎を起こしていないか、喉がゴロゴロして痰(たん)が多いかどうかなどは、医師でなくても家人や介護の人がよく見定めなければ、いろいろの合併症を起こす原因となることもあるので注意を要する。

 最近は在宅療養をしている老人宅に歯科医師が訪問診療をしてくれるので、ぜひ往診を頼むことを考えてほしい。

口腔ケアに2種類

 「口腔ケア」とは何かといえば、「口をきれいにすること」(器質的口腔ケア)と、「働く口を作る」(機能的口腔ケア)とに分けられる。前者は直接ブラシを上手に使って歯や舌や口腔の汚れを除くこと、後者は口腔周囲や頸部のマッサージ、口体操や舌体操をすることが大切である。

 以上の処置により、誤嚥性肺炎が予防される。入院中や在宅ケアの老人はもともとの病気で死ぬよりも、嚥下性肺炎で死ぬことがいちばん多い。

嚥下障害をもつ患者、食事介助前に流しうがい

 嚥下障害をもつ患者の食事介助をする場合には、最初に口腔ケアを行って口内の雑菌を減らし、口の中を湿潤させてから、食事介助に入るのが最も安全である。その場合は、食事介助時の患者の体位(ポジショニング)が非常に大切である。食事を介助する前に患者を側臥位にしての流しうがいの行為が大切である。

 この方法は、少し高めの枕を当てて患者をベッド上に横向きに寝かせてうがいをさせた液を枕より低い位置に受け皿を寄せて口腔内の液を吐き出させ、反対側の口角からうがい液を先のとがった吸い口のある水飲みでうがい液を流し込む。

患者のおしゃべり誘うコミュニケーションも必要

 食べる口はまたしゃべる口でもあるので、なるべく介護者が患者のおしゃべりを誘うコミュニケーションも必要であることを強調したい。

コメント

経験と読み聞き見した内容から
[50代男性]2012年7月18日

口腔ケアを自然にやっているのが唾液。
これは口を閉じて舌で口腔内を刺激するといいそうです。
誤嚥は食道と気道のところを分ける筋肉の反射が少しずつ遅くなってしまうからと。
歯でものを噛んで食べると、歯根膜に刺激が行って、ともすると体の機能が回復するという。

このような事柄をテレビでやっていました。
それと共に、両親とは、不要な医療はしないで、そのままにしておいて欲しいという話し合いもしています。

一度チューブをつけると、はずせないという事情もあるようです。認知症から誤嚥性肺炎で他界した親族の家族が気道へのチューブを断念した経緯も見聞きして参考にしています。

自分の最期をどうしてほしいのか、そんな話題もでるこの頃です。
佐々木千津子さんの人生も参考になりますね。
「ほっとしてほっ」を読んで考えています。
重度の脳性麻痺でも、やはり人と会話をしたいと、介護者や健常者と話す事はいいみたいです。

機能の読み変えとトレーニング
[寺田次郎 関西医大73期]2012年7月14日

医食同源、頭に浮かんだのはこの四字熟語でした。

本来の意味とはズレますが、食べる=医療(病気の予防)という風にも捉えることはできます。
つまり、「機能の読み変え」です。

先生が最後に紹介されているように、口の持つ機能は食べるだけではありません。
喋る、吸う、吐く、表現する・・・そういった機能の中で、食べる以外の機能を実施することで鍛えられる(維持できる)筋肉や神経もあります。
また、他機能を鍛えることで拡張できる機能も出てくると思います。
口腔ケアはよく分かりませんが、嚥下以外の何かをすることで嚥下機能を回復できるかもしれないですね。

ちなみに患者さんと喋ってたら、(いわゆる)仕事が遅れるんですね。
少なくとも患者さんとおしゃべりすることは医師本来の仕事としてカウントはされませんから。
けれども、患者さんと喋ることで見落としや診断ミスを防ぐことができます。

まあ、とはいえ、8割以上はただの雑談に終わる可能性があるので、なんとも言えない部分でもあります。

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プロフィール
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日野原重明(ひのはら・しげあき)
誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院理事長
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