石井苗子の健康術
2012年7月3日
どうして予約がそんなに先なんですか?

(心療内科の受付で一番多い質問です)
大学病院の心療内科に直接電話をかけていらっしゃる患者さんが多くいらっしゃいます。中には地方の遠い所からのこともあって、ぜひ診てほしいとおっしゃるのですが、受付の方が「一番早い予約で11月の……」と、お伝えすると、「どうしてそんな先なんですか?」と驚かれます。
新患診療は予約診療が終わってから、しかも紹介状が必要なので一度どこかの内科に診てもらってからでないと予約が取れません。そうなるとずっと先になってしまう。
東京の1か所にある心療内科がどうしてこれほど忙しいのか、私はもう7年以上も研修を続けながら解決策を考えてきましたが、30年の年月をかけてチーム医療体制を作ってきた先生方のインタビュー記事を最近読んでみて、なるほどと思ったことが何か所かありました。
最初の質問が「心療内科とはどのような診療を行っているところなのでしょうか」なのです。
次が「精神科とどこが違うのでしょうか」でした。この二つが最も分かりづらい、つまり周知されてないということです。
人々は何がどこの専門かは自分で調べれば分かると思っています。それよりどこに行けば早く自分の病を治してくれるかに興味がある。今のところ専門医を選ぶのは個人の自由となっています。
例えば耳が不調なら耳鼻科に行く、しかしどこが悪かったら心療内科に行けばいいのか分からないから、迷っているのだと理解しました。
ドクターたちが精神科との違いを明確に話しているのですが、診療を受ける側の立場になれば、早く心身ともに楽になる科に行きたいと願うだけなので、心療内科に行けばここがよくなるということをもっと詳しく知りたいのでしょう。でも、まだよく分からない。
最近ではメディアが新しい病名と共に治療先が心療内科だと紹介すると、一斉に電話がかかってくるのです。
カウンセラーがついて相談にも乗ってくれる、しかも治療料金が安いとなれば予約を取りたくなる気持ちも良く分かります。
一方で、その専門(たとえば耳鼻科)の医師が心療内科的な仕事もすればいいという考え方も根強くあります。
患者中心の医療の基本に立てば、受診者は楽にしてくれる医師を探しているわけですから、すべての医師が心療内科の授業を大学で学んで卒業していってほしいと思われるでしょう。
残念ながら、医大生も心療内科の存在意義を明確に学習していません。中には「治らない面倒な患者は心療内科に回せ」と理解している学生もいます。
ストレスで病になることの社会構造とその治療法を学問の中でもっとしっかり勉強するべきでしょう。
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