ミチコさんの人“性”塾
2012年7月2日
主婦がつづった「墓」と「傷口」 …中絶と女性(2)

では今回は、「生まれなかった子」について自身の体験をうたった池田夏子さんの詩「病室で」をご紹介しましょう。池田夏子さんは普通の主婦の方ですが、一緒に女性問題や母親運動に取り組んだ仲間のお一人です。もうずっと前にお亡くなりになりました。
生まれなかったお前
お前の墓は
血のにじむ私の傷口隣室の赤ん坊の声が
私の傷口に灼きつく
声のない涙が
虚しい体にしみてゆく皆に恐ろしい日がやってきても
戦わずにすんだお前
傷つかずにすんだお前
卑しいおじぎもせずにすんだお前しかし
お前が何の種子だったか
それは誰にもわからない
私は何を失ったのだろう
それは誰にもわからないのに何のために
生まれるまえに死んだお前よ
知らないうちに
病巣とお前とを育てていた
疲れた母親がどんなに言いわけをしても
自分でやはり許せない
じっと天井を見つめていると
責めるように傷はまたうずくのださようなら
生まれなかったお前
人知れぬ傷口にお前を埋め
私はいつまでも抱いてゆく
小さな暗いしみのような
花もないお前の墓を
ご自身の中絶体験をせつせつとうたった池田さんの詩に、ご自身の体験をかさねて共感をなさる方もおいでではないでしょうか。
◇ ◆ ◇
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- プロフィール
- 高柳美知子(たかやなぎ・みちこ)
- 1931(昭和6)年、東京生まれ。中学・高校の国語教師などを経て、現在は“人間と性”教育研究所所長。
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コメント
何故、このような愛する者との別れってあるのでしょう。誰にでも起こるし。
生きている辛さとは、まさにこの事だと思います。
悲しみ、憎しみ、妬み、憎悪。
生まれて、老いて、病んで、亡くなる。
まさに四苦八苦。
なのに人生を、なんとか幸福にと願う。
人間の貪欲なほどの生き様でしょう。
性の交わりで、その苦しみの中から何かを見つけながら、2人で過ごすのも、来るべき時の為でしょうね。
今朝、顔色よくても夕方はどうなってるかわからない。何故今、愛する人と一緒にいないのか。
一瞬という今がいかに大切か思いしらされる詩だと思いました。