障害児・病児も動物園に

閉園後に招待 好きなペースで見学

 閉園後の動物園などに、障害や病気を抱える子どもたちを招待する国際的な活動「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」が、日本でも広がってきた。毎年6月を中心に行われ、国内では今年、上野動物園(東京都)など4園が新たに加わり、計16園で開催。今後、取り組みのさらなる拡大が期待される。

 2日午後5時半過ぎ、一般客が帰った上野動物園に、知的障害や車いすの子どもたちが、付き添いの家族らと一緒にやってきた。職員に解説してもらいながら、パンダやゾウをじっくり眺めたり、ウサギやモルモットを抱っこしたりして約2時間楽しんだ。

 家族5人で参加した埼玉県越谷市の会社員山中克洋さん(43)は、「知的障害と自閉症を抱える長男(12)は、長時間並んで順番待ちするのは難しく、大声を上げてしまうこともある。迷惑がかかると思い、動物園に連れて行ってあげられなかった。家族で楽しめてうれしい」と話した。

 この活動を日本で初めて実施したのは、横浜市のよこはま動物園ズーラシア。動物園の運営に関する国際会議で、「障害や病気を抱える子どもたちにもゆっくり見学してもらいたい」という活動の趣旨を知り、2005年から始めた。その後、高知、長野、千葉などの園が招待日を設け、今年は、東京の上野動物園、葛西臨海水族園、多摩動物公園、石川県のいしかわ動物園が実施を決め、1都10県の16園に広がっている。

 多くは今月中旬までに実施したが、いしかわ動物園や千葉市動物公園などは、夏休み中の8月に招待する予定。

 上野動物園は、応募があった約1700人から抽選で600人の子どもと家族を招待した。それぞれ好きなペースで見学できるように人数を制限。同園長の土居利光さんは「来年以降も継続したい。多くの子どもに動物に親しむ場を提供するため、招待者数も少し増やしたい」と話す。会議での報告などで、他の動物園にも参加を促すという。

 障害児教育に詳しい国立特別支援教育総合研究所の尾崎祐三さんは、「動物を観察し触れることは、障害児や病気を抱える子にとって世界が広がる良い機会。周囲に遠慮して外出を控える家庭も多いので、全国的に広がってほしい。施設側は普段からどのような子も楽しめる工夫に目を向けてもらいたい」と話している。(矢子奈穂)

ドリームナイト・アット・ザ・ズー
 オランダのロッテルダム動物園が1996年、小児がんを患う子どもたちを招待したのが始まり。世界約40か国の動物園や水族館が参加し、毎年6月初旬を中心に障害や病気の子どもと家族らを招いている。実施園は、ホームページ(http://www.dreamnightatthezoo.nl/)に英語などで掲載されている。

2012年7月1日 読売新聞)

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