海原純子のハート通信
2012年6月25日
児童虐待からの再生のカギは「愛着と信頼できるメンター」

6月24日、日本心理学会公開シンポジウムが都内の伊藤国際学術研究センターで行われ、参加しました。400名の会場がいっぱいで、テーマは「児童虐待からの再生」
1990年に1100件だった児童相談所の相談件数は、2011年には5万5000件。児童虐待には身体的虐待のほか、ネグレクト、性的暴行、心理的虐待(言葉による虐待や無視)があることはよく知られています。
シンポジウムでは、虐待による発達遅滞(体が小さい、言葉や知能の遅滞)が取り上げられ、この要因として、ストレスにより成長ホルモンの分泌抑制がおこったり、大脳辺縁系(海馬や扁桃(へんとう)体)が12~16%も萎縮したりすることが紹介されました。
脳にはその発達により感受性の強い時期があり、海馬は3~4歳が最も感受性が強く、虐待の影響を受けやすく、脳梁(りょう)は9~11歳が最も感受性が強い時期だということです。
しかし、虐待を受けたからと言って、すべての子供で成長が遅れる訳ではなく、回復する子供たちもいます。
その明暗を分けるカギは、愛着とメンター(信頼の置ける指導者、相談相手)がいるか、いないか、という点が大きいという指摘が取り上げられました。愛着を感じる人がいるかどうか、そして自分に感心を持ち、受けいれ、指導してくれる人がいるかどうか、が大きなポイントとなるという提示がなされました。
ストレスフルな状況で一度傷ついても、そこから立ち直る回復力は自分を信じてあきらめない自己信頼。必要な時に人の助けを求めることができる他者への信頼。つらいことがあっても未来は良くなるという未来志向性などが大切という点が、日本心理学会公開シンポジウムで仁平義明先生から提示されました。
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- プロフィール
- 海原 純子(うみはら じゅんこ)
- 1976年東京慈恵会医科大学卒業。白鷗大学教授。医学博士。2000-2010年、ハーバード大学及びDana-Farber研究所・客員研究員。現在はハーバード大学ヘルスコミュニケーション研究室と連携をとりながら研究活動を行っている。
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