C型肝炎(2)治療決断 師匠への思い
治療を決め、病院で詳しい検査を受けると、特に治りにくい型で、ウイルス量も多いとわかった。
発熱、脱毛、うつ――。効果が増したペグインターフェロンの注射を毎週打ち、ウイルスを抑える薬を毎日飲む治療の手引には、数々の恐ろしげな副作用が書かれていた。心が揺らいだ。
「元気がなくなり、いい漫才ができなくなったらお客さんに失礼だから、治療をやめようかと思います」
主治医に伝えると、こう問いかけられた。
「太く短くもいいでしょうが、お客さんは皆、あなたの漫才を長く見たいのではないですか」
アルコール依存症で苦しんだ故・岡八朗師匠への思いも背中を押した。
「顔もしぐさも似てる。盲腸も酒飲みのところも、師匠の後を追いかけている気がして。病気だけはまねせず、治る可能性があるなら治したいと思いました」
師匠との31年間を書いた「師弟」(ヨシモトブックス)の後書きで治療のことに触れたのも、師匠が治療に踏み切らせてくれたと思っているからだ。
2010年2月、初めての注射を打つと、間もなく寒気と関節の痛みが襲い、39度を超える熱が出た。
「覚悟はしていたものの、こんなんが注射を打つ度にあるなんて、えらいこと始めてもうたと思いました」
しかし、これは始まりに過ぎなかった。
(2012年6月21日 読売新聞)
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