オトコのコト 医師・小堀善友ブログ
2012年6月12日
子宮頸がんワクチン 女性のためだけのもの?(上)
子宮頸がんワクチンが来年度から定期予防接種化される方針が固まりました。
ワクチンは、病気の原因となる病原体(細菌やウイルス)を弱らせたり殺したりして作った薬です。人間の体には一度入ってきた病原体を倒す方法を覚えて、次から病気にならないようにする免疫といわれる仕組みがあります。これを利用して、注射などでワクチンを体に入れて、病気に対する抵抗力をつけるのが予防接種です。
ワクチン接種については賛否両論がありますが、私はワクチン接種による利益と副作用を天秤にかけて、ワクチンを接種したほうが利益があるのではないか、との立場です。
ウイルスが子宮頸がんの原因に
その中に、子宮頸がんワクチン(正しくはHPVワクチンと言います)があります。このワクチンは、主に性交経験前の若い女性を対象に接種するように指定されています。このワクチンで感染を予防できるHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスをご存じですか?
どんなものかというと、パピローマ(日本語で言うと乳頭腫。簡単に言えば、皮膚にできるイボの一種です)を引き起こすウイルスのことです。ヒトパピローマウイルスは、100種類以上の型があり、そのなかで高リスク型(16型、18型など)のウイルスに感染すると子宮頸がんの原因となることがわかっています。
2008年のノーベル医学生理学賞はこのウイルスを発見したドイツの医師が受賞しました。実は、私も大学院の時代に、婦人科の医師に指導していただきこのウイルスについて研究していたので、受賞のニュースに接し、感慨深い思いがありました。
性交前にワクチンを
さて、ヒトパピローマウイルスは、ごくありふれたウイルスです。セックスによって男性から女性へ、またその逆に女性から男性へと感染していきます。同性愛者の間でも同様に感染します。子宮頸がん以外にも、咽頭がんや肛門がんの原因となります。
女性のほとんどが一生に一度は感染するほどありふれたウイルスですが、多く場合は感染しても、免疫力によって自然に消滅してしまいます。風邪をひいたときにかかるウイルスみたいなものです。
しかし、一部の女性の間では消滅せずに残ってしまい、がんを引き起こす可能性があります。なぜ、消滅しないのか、についてはまだよくわかっていません。
繰り返しますが、子宮頸がんは、パピローマウイルスによって引き起こされる事、そしてセックスによって伝達される事が明らかになってきました。それならば、性交前にワクチンを接種して、免疫力によりがんを防いでやろうというのがこの子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の役割です。
子宮頸がんは日本でも女性で3番目に多いがんと言われています。海外ではワクチン接種により80%近くの予防効果がある事が分かっています。
パートナーの男性に問題は?
しかし、感染の原因がセックスであるのなら、女性だけではなくパートナーである男性側には問題は無いのでしょうか? 男性は、予防接種をする必要が無いのでしょうか? 次回は、男性とヒトパピローマウイルスに関して書きたいと思います。
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コメント
アメリカ在住です。娘が9歳の時にすすめられ、まだ生理も始まっていないので、お断りしました。現在14歳、先日またパンフレットをいただき、本人に自分でも読んで考えるように言いました。
副作用で亡くなったお子さんがいる記事を読み、どうしても踏み切れません。
こちらでは男の子も接種できるようになりました。