よくかむ子ども、元気に育つ

 今月4~10日は歯の衛生週間。軟らかく、あまりかまずに食べられる食品が多い現代では、昔に比べてかむ回数が減ったといわれる。しかし、よくかむことは、歯や口の健康につながる。家庭でも意識することで、子どもの頃からよくかむ習慣をつけさせたい。

口内きれいに / 肥満予防 / 脳活性化

 先月25日、広島県安芸高田市立郷野小学校の4年生の教室。子どもたちが、真剣な表情で、ガムをかんでいた。

 これはかむ力を判定するためのガム。青のガムと赤のガムを一緒に口にいれて30回かみ、色の変化を確認した。よくかめていれば紫色になるが、ほとんどの児童が、青と赤が混じった市松模様のよう。「もっとよくかみましょう」との判定だった。

 授業では、厚生労働省が健康のために提唱している「一口30回かもう」などの標語を黒板に書き、養護教諭の出原了子さんが「かむことによって、病気を防ぎ、食べ物の味がよく分かるようになる。歯をかみしめると力が出る」などと子どもたちに教えた。

 子どもの虫歯の数は減少傾向にあり、かむ力の未発達、歯周病などが課題になっている。日本学校保健会(東京)が2008年に、小中学生とその保護者(約1万1000組)を対象にアンケートを実施したところ、小学生の保護者の約半数が、「子どもはしっかりかんで食べていない」「子どもの食べる速度が速い」と感じていることが分かった。「子どもは、一口の食べ物を30回以上そしゃくしている」と答えた保護者はほとんどいなかった。

 歯や口の健康に詳しい日本歯科大准教授の福田雅臣さん(口腔(こうくう)衛生学)は、「かむことで分泌される唾液は、消化を助けるだけでなく、口の中の細菌や食べかすを洗い流す作用がある」と話す。このほか、かむことで脳の満腹中枢が働き、早食い、食べ過ぎを抑えて肥満予防にもなる。口の周りの筋肉が鍛えられて表情が豊かになり、脳の働きの活発化にもつながると期待されている。

 しっかりかむ習慣をつけるために家庭でできることはなんだろう。一口食べるごとに30回数えるのは、大変だ。食物繊維が豊富な歯応えのある食材を選んだり、食材を大きめに切る、薄味にするなど、食材や調理法で、かむ回数を増やすことができる。

 しかし、それより、「早寝早起き、規則正しい食事など、基本的な生活習慣をつけることが、食べ物をしっかりかみ、味わって食べる時間や余裕につながる」と福田さんはいう。

 だらしない生活習慣、遊びながらやテレビを見ながらの「ながら食べ」は、かまずにのみ込む要因にもなる。だらだら食べたり、頻繁におやつを食べたりすることも、常に口の中が汚れている状態となり、虫歯につながりやすい。

 食後に、虫歯予防効果がある天然甘味料・キシリトール入りのガムをかむのも、かむことを意識させ、虫歯予防になる。

 家族で、ゆっくり味わいながら食事をし、楽しみながらかむことを覚えたい。

かむことの主な効用
・肥満の予防になる
・味覚が発達する
・口のまわりの筋肉を使うため、発音がはっきりする
・全身の体力が向上する
・歯の病気を防ぐ
・食べ物の消化を助ける
(福田さんの話などから)

2012年6月8日 読売新聞)

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