今こそ考えよう 高齢者の終末期医療
2012年8月29日
あなたがしてほしくないことは、私にもしないで
これまで私たちは、欧米豪の高齢者介護施設を紹介しながら、日本の高齢者終末期医療の問題点を指摘してきました。わが国では、家族や医療者の判断で経管栄養などの医療行為が行われています。しかし、当の本人が満足しているかどうかは分かりません。なぜなら、本人は意思表示ができないからです。終末期医療の選択においては、家族も医療者も悩みます。選択した後でも、これでよかったのかと後悔の念に苛まれることがあります。
2012年8月22日
「頼むから、もう放っといてくれ!」
以前に勤務していた病院でのことです。施設に入所中の86歳の男性患者さんが、肺炎を起こして入院してきました。点滴を自分で抜いてしまうため、両手を太いひもでベッド柵にしばられました。すると、今度は起き上がろうとするため、胴体が抑制帯で縛られました。抑制帯には鍵がついています。患者さんは寝返りもうてません。私がとなりの患者さんの診察に行くと、この患者さんは「頼むから、もう放っといてくれ!」と悲痛な声で叫びました。そして、数週間後に亡くなりました。主治医ではないので、患者さんの希望をかなえることはできませんでしたが、放っておいてあげるべきだったと患者さんに対して申し訳なく思っています。
2012年8月15日
納得のいく死を迎えるために
終末期をどう迎えるかは重要な問題です。納得のいく死を迎えたい、と考えている人は、終末期の医療について、事前に自分の希望を書面に残すことをお勧めします。リビング・ウィルや事前指示書がそうです。日本では両者が同じ意味で使われる事が多いのですが、米国では下記のように区別されています。
2012年8月8日
20年かけて減らした「経管栄養」
2007年にスウェーデンの認知症の施設と病院を見学しました。その時、案内してくれた老年科のタークマン先生が「スウェーデンでは、高齢者が物を食べなくなった場合、点滴や経管栄養をしません。食べるだけ飲めるだけですが、安らかに亡くなります。私の父もそうして亡くなりましたが、前日まで話すことができて穏やかな最期でした」と教えてくれました。
2012年7月18日
胃ろうも点滴もしないで、苦しくないのか
終末期の高齢者に胃ろうも点滴もせずに看取る国があるという話をすると、きまって「餓死させるのか」「飢えや脱水で、苦しんで死ぬのでは」といった質問が返ってきます。
2012年7月11日
食べられなくなったら、どうしたいですか
認知症の患者さんは、病気が進行すると食事の認識ができなくなり、目の前に食事があっても食べなくなります。そのため、介助して食べさせるのですが、次第にむせるようになります。脳細胞が減って、口や喉の筋肉の動きをコントロールできなくなるからです。
2012年7月4日
誤嚥性肺炎と胃ろう
先月発表された2011年度の人口動態統計によると、死因の1位と2位は悪性新生物(がん)と心疾患で変わりはありませんが、3位と4位が入れ替わり、肺炎が脳血管疾患を上回りました。肺炎による死亡が増えた最大の原因は、人口の高齢化です。高齢になるほど肺炎による死亡が増加し、80歳を超えると急増します(図)。そのほとんどは誤嚥(ごえん)によるものです。誤嚥とは、口の中の食べ物が誤って肺の中に入ることをいいます。
2012年6月27日
終末期医療は誰のもの?
終末期の高齢者に対する家族の想いは様々です。そのため、高齢者が終末期に受ける医療は家族により異なります。しかし、医療を受けるのは、家族ではなく本人です。本人は人生の終末をどのように迎えたいのだろうかと、本人の立場で終末期に受ける医療を選択して欲しいと思います。
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- プロフィール
- 宮本顕二(みやもと けんじ)
- 1976年、北海道大学医学部医学科卒業
- 北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野教授
- 宮本礼子(みやもと れいこ)
- 1979年旭川医科大学卒業
- 桜台江仁会病院(札幌市)認知症総合支援センター長
- ブログは2人が交代しながら書いていきます。
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