不眠解消に日中の活動

早寝早起きにこだわらず

 寝付きが悪かったり、途中で目が覚めてしまったり、不眠に悩む高齢者は多い。加齢に伴う体質や生活環境の変化が原因だ。早寝早起きにこだわるよりは、日中の活動を充実させるほうが快眠に結びつくと専門家は指摘している。

 「午前1時頃に目が覚めてしまい、ほとんど眠れぬまま朝を迎えるのがつらい」

 スリープクリニック調布(東京)院長の遠藤拓郎さんは最近、70代の男性からこんな相談を受けた。

 話を聞いていくと、午後4時に入浴、5時に夕食を済ませ、7時に就寝するのが習慣化していた。「しっかり眠ろうと早寝し過ぎて、結果的に浅い眠りをダラダラと続けている。高齢者が陥りやすいパターンです」と遠藤さんは指摘する。

 国立精神・神経医療研究センター(東京)の医師・三島和夫さんの研究グループが約1800人に実施した調査では、加齢に伴って睡眠時間は短くなる一方、寝床にいる時間は長くなる傾向が見られた=図=。

 20代では午後11時40分に就床し、起床は午前7時。7時間20分床の中におり、実際に眠っている時間もほぼ同じだ。これに対して、70代では午後8時50分に就床し、起床は午前5時50分。9時間床の中にいるが、実際に眠っているのは6時間しかない。

 三島さんによると、睡眠とは、疲労回復や日中の活動でダメージを受けた体内組織を修復するためのもの。加齢とともに睡眠時間が短くなるのは、仕事を引退したり子育てが終了したりして、若い頃に比べて日中の活動量が減るほか、老化によって基礎代謝も低下するからだ。「睡眠の必要性は減っているのに、寝床にいる時間が長くなれば、よく眠れないのは当然です」と三島さんは話す。

 遠藤さんも「午前0時~6時ぐらいが、睡眠に一番適した時間帯。早寝早起きにこだわらず、少し『遅寝』でも、日中の活動を充実させることに意識を集中したほうがよい」という。

 睡眠改善インストラクターの橋爪明子さんは「適度に体を動かし、ほどよく体が疲れるように心がけましょう」とアドバイスする。軽い運動としては、散歩やラジオ体操、ヨガなどが挙げられる。

 ボランティアなど地域活動を通じて周囲の人とコミュニケーションを取るのも良い。脳が活性化され心地よい疲労につながるという。

 こうした活動内容は、「睡眠日誌」として記録しておくとより効果的だ。ノートに就床、起床時刻のほか、その日にどんな活動をしたか書き留める。「体操をしなかった日は、すぐに寝付けなかったとか、深酒した日の夜中に目覚めてしまったとか、いろいろなことが分かってきます。よく眠るための生活習慣が自分なりに把握できるはずです」と橋爪さんは話す。

心地よく眠るためのポイント
・朝は日の光を浴び、きちんと朝食をとる
・昼寝は15~30分程度で切り上げる
・入浴は就床の1時間前ぐらいが良い。ぬるめのお湯にゆっくりつかる
・寝る1時間前にはテレビやパソコンを見るのをやめる。光が睡眠を促すホルモンの分泌を妨げる。部屋の照明も柔らかいものに
・「軽く本を読む」「日記をつける」など寝る前に必ずやることを決めておく。体が眠りの準備に入るサインになる。家族同士で「おやすみ」のひと言も大切
・寝酒はしない。眠りが浅くなる上、尿意で目が覚めてしまうことも
(橋爪さんの話を基に作成)

2012年6月1日 読売新聞)

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