[小学生の部] 優秀賞 「つらいだけじゃない」
小山 知紗 さん
大阪府茨木市
12歳 ・ 小学6年
「やった―」
私は、いつの間にか、さけんでいました。やっと退院の日程が決まったのです。私は、ネフローゼ症候群という病気で、一か月以上の入院生活を続けていました。病院では毎日のように様々な検査が行われ、時には、しんどくもなりました。
しかし、入院生活は、つらく、しんどいことばかりではありませんでした。なぜなら、病院の中には、院内学級という、学校に似た場所があり、そこでは、私と同じように病気とたたかっている人がたくさん来ていました。でも、みんななぜかとても楽しそうでした。入院していて楽しいはずがないのに、みんないつも笑っていました。
私も、院内学級に通うようになって、なぜみんながいつも笑っていたのか、だんだんと分かるようになっていきました。それは、とにかく楽しいからです。先生もおもしろいし、みんな、学年もバラバラなのに、友達になってワイワイしゃべったり、ふざけあったり…私も、そんな院内学級にすぐになじんで、勉強のほか、アイロンビーズで小物入れを作ったり、院内学級で知りあった友達とおそろいの布でエプロンを作ったりしました。もちろん、今でも作った物はちゃんと使っています。
また、病院では一か月に一度、行事があり、その日には、病棟中の人が集まって、みんなで遊んだり、最後には、おもちゃがもらえたりする、とても楽しい日です。なのでその日は、入院生活の苦しさ、しんどさ、悲しさもまぎらわされます。ですが、夜になると、静かで、暗くて心細くなり、小さい子たちの泣き声が、聞いていて、とてもかわいそうになります。
ですが、その子たちも次々と退院していき、私だけがなかなか退院できないことに、悔しさがあふれてきます。そんな私に、勇気を与えてくれたのが、母の、この言葉です。
「病気は、神様がこの人だったら大丈夫。この人だったら乗りこえられる。という思いで、病気にしているんだと思うから、知紗だったら乗りこえられるよ。」
という言葉です。私は母のこの言葉を聞いて、(お母さんも苦しいはずなのに、私を勇気づけるために、こういうことを言ってくれているんだから、私もくよくよしてないで、早く退院できるように、一生けん命努力しよう。)と思ったのを今でも覚えています。
それから数週間…退院の日程が決まった時の喜びは、言葉で言い表せないほどです。一か月間努力したかいがあったと実感しました。
その日からの病院生活は、今までとは真反対の生活でした。今までは一日がとてもゆっくりだったのが、まさに、飛ぶように過ぎていっているように思えました。
そして、退院日…。久しぶりにパジャマでない服を着ていわかんを感じたけれど、とても幸せないわかんでした。私は、(今まで、退院していった人はみんなこんな感じだったんだろうなあ。)と思いました。そして家に帰って私は、(入院していないってどれだけ幸せなことなんだろう。家族とご飯も食べられるし、時間も気にせず家族といられる。病気をしていない人は、それが当たり前だけれど、私たち、病気をしている人は、そんな当たり前が幸せなことなんだよなあ。)と改めて実感しました。私は、今まで感じてきた病気についての気持ちを活かして、将来、病院関係の仕事につこうと考えています。その仕事に全力をつくし、病気で苦しんでいる人、困っている人の手助けをしてあげたいと思っています。それも日本全国どんなところでも、役にたてたらいいと思っています。
| 第30回「心に残る医療」体験記コンクールには、全国から医療や介護にまつわる体験や思い出をつづった作文が寄せられました。入賞・入選した19作品を紹介します。 主催 : 日本医師会、読売新聞社 後援 : 厚生労働省 協賛 : アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社) |
| ※ 年齢や学年は表彰式(2012年1月21日)当時のものです。 |
(2012年5月31日 読売新聞)
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