バラでエチオピア支援
手にした赤いバラがよく似合う。その売上金などを使って、エチオピアの女性や子どもを支援する活動を、友人や仕事仲間と一緒に行っている。「途上国支援とは縁遠い人間。最初は、周りも『あんたが支援?』なんて驚いていました。まだ、“よちよち歩き”の活動ですけど」
「One of Loveプロジェクト」。首都アディスアベバ近郊のバラ農園のある地域に支援金を送る活動だ。2009年、夫でパーカッション奏者の斉藤ノヴさんと始めた。農園で働く女性たちの労働環境の改善に使い、子どもの育成や地域振興にもつながればと思っている。
毎年6月下旬に開催する支援ライブには、歌手として仲間のアーティストたちと出演。収益金を寄付している。友人が経営する生花店「ビビアン」(東京・六本木)では、自分の名前を取って「マリルージュ」と名付けたバラを販売してもらい、売上金の15%を寄付してもらっている。「みんな仕事そっちのけ。改めて、人のありがたさを感じます」
独身だった40代後半、子どもがいないことに罪悪感のようなものを覚えた時期がある。開発途上国の子どもに支援金を送る活動に参加したが、次第に「本人たちに会ってみたい」と思うようになった。
子どもに会いに、08年に訪れたエチオピアで、どのレストランでもテーブルの上にバラが飾ってあるのに驚いた。「バラは私の好きな花。エチオピアとは縁があるなって」。バラ栽培を産業として育成していることを知り、帰国後、友人たちと話すうち、「バラを使って支援しよう」という展開に。「ボーッと生きてきたから、神様が『少し勉強しろ』と出会いをくれたのかな」
集まった支援金で10年には、バラ農園にパソコン6台などを贈った。農園の代表からは定期的にメールで報告が来る。「パソコンの操作を覚えてマネジャーになった女性が、楽しく仕事している様子も伝わってくる。うれしいですね」
昨年は東日本大震災が発生し、農園の代表からは「今年は東北を支援して下さい」とメールが届いた。支援金を福島に送ったが、今年からエチオピア支援に戻すつもりだ。支援ライブは例年通り6月21日に、東京・渋谷で開く。
昨年5月、事実婚だった斉藤さんと婚姻届を提出して話題になった。「自分でもよく説明できないけど、やはり震災の影響かな」
今月、60歳になったばかり。今の自分を確認する意味で、自ら「ロクマル」と称している。「初心に戻り、新しい自分に生まれ変わる年にしたい」。誕生日に行ったライブでは、ギターの演奏やピアノの弾き語りなど、新しい試みも取り入れた。
「年を重ねたら、好きなことをした方がいいと思うんです」。支援活動も、協力してくれる生花店を全国に広げたいと思っている。「仕事はやめるかもしれないけど、こちらは死ぬまでやらないと。責任があります」(西内高志)
なつき・まり 女優・歌手 1952年、東京都生まれ。73年、「絹の靴下」がヒット。今年はNHKの連続テレビ小説「カーネーション」に出演。舞台パフォーマンス「印象派」とブルースバンド「ジビエ・ドゥ・マリー」にも力を入れている。
(2012年5月28日 読売新聞)
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