医療相談室
- Question
変形性膝関節症など患う…ステロイド治療だけでいいのか
変形性膝関節症、椎間板ヘルニア、膠原病(全身性エリテマトーデス)を患い、通院していています。全身性エリテマトーデスは、病院を変えてから、ステロイドは隔日で1錠の服用になりました。仕事中、膝の痛みと左足の感覚がない状態で困っており、湿布をはったりしています。病気は良くなるでしょうか。(50歳男性)
- Answer
「特発性ステロイド性骨壊死症」との鑑別重要、整形外科専門医の診断を
戸山芳昭 慶応義塾大学医学部整形外科教授(東京・信濃町)
全身性エリテマトーデスに対して少量のステロイドで投薬加療中とのこと。幸い病状は安定しているようですが、ステロイド剤を多量に(1日15mg以上)服用した時期が以前にあれば「膝の痛み」の原因としていくつかの疾患と鑑別を要します。
「変形性膝関節症」の他に、膝の特発性ステロイド性骨壊死症、また大腿前面の疼痛や知覚障害がある場合には、椎間板ヘルニアによる大腿神経痛の他に股関節(大腿骨頭)の特発性ステロイド性骨壊死症との鑑別が重要です。
一方、「左足の感覚がない」原因として、腰MRIで「椎間板ヘルニア」と診断されていれば本疾患による症状である可能性が高いでしょう。その場合、80%以上が保存療法で自然軽快します。体重管理や安静などの日常生活管理が重要であり、整形外科専門医の指導下でシップ剤塗布、非ステロイド鎮痛消炎剤内服、神経ブロックなどを続けると症状は軽快するでしょう。
変形性膝関節症と特発性ステロイド性骨壊死症の相違点について説明しましょう。
変形性膝関節症は関節軟骨が加齢性変化により摩耗し、特発性ステロイド性骨壊死症は骨への血行障害が原因で生じる骨の壊死と変形が特徴です。レントゲン検査で軟骨の摩耗を認める場合には前者を、軟骨の摩耗は明らかでなくむしろ軟骨の下にある骨が陥没している場合には後者の可能性が高いと言えますが、骨壊死の初期病変をとらえる上ではMRI検査が有用です。
変形性膝関節症の場合には、50歳という年齢を考えると近い将来に手術を要する可能性は低いでしょう。ただ、今後の進行予防と痛みをコントロールする上で通院加療を続けることが重要です。摩耗した軟骨を再生させることは困難ですが、症状を改善し、進行を遅らせることは十分に可能ですので、前向きにとらえてうまく付き合うとよいでしょう。
膝あるいは股関節の特発性ステロイド性骨壊死症の場合には、骨変形が少なくて軟骨の摩耗が明らかでない場合には安静により骨の修復が進み症状が自然軽快します。症状がある時期に体重管理や比較的安静を心がける必要があります。
いずれにしても、整形外科専門医により適確に診断され、その重症度に応じた日常生活指導を含む保存治療とその経過観察が肝要です。(日本専門医制評価・認定機構協力)
(2012年6月1日 読売新聞)
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