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岩手県警、64人がPTSDか
自らも被災、遺体捜索不安や不眠
東日本大震災の被災地での活動で受けた「惨事ストレス」について、警察庁が岩手、宮城、福島3県警の9847人を調査したところ、1~2月時点で408人(4・1%)に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがあることがわかった。
岩手県警は2208人中、64人(2・9%)にPTSDの疑いがある。強い不安感や不眠、悲惨な状況のフラッシュバック(再体験)を訴える人もおり、3県警は今後、専門家のカウンセリング受診などの対策を進める。
調査は昨年4~5月に次いで2回目で、3県警の全警察官・警察職員にアンケート形式で実施。「被災地の夢をよく見る」「ささいなことでイライラする」「物事への興味がわかない」など32項目への反応を専門機関で分析した。
震災直後の調査では、PTSDの疑いがある人は全体の7・6%で、多くは一過性の症状だった。一部が慢性化したとみられるほか、今回の結果には、半年以上後に発症する「遅発型PTSD」が含まれている可能性もあるという。
多かった回答は「眠りが浅く目が覚める」、「自分が役立っているか反省することがある」、「常に不安がある」など。自身や家族が被災したり、勤務負担が重くなったと感じている人にPTSD症状が多いこともわかった。
岩手県警は昨年、惨事ストレスについてのアンケートを独自に実施。PTSDの疑いがある人は4月、全体(2462人)の237人(9・6%)を占めたが、10月には全体(2492人)の87人(3・5%)に減少した。
しかし、県警厚生課によると、87人のうち約3割は、10月に初めてPTSDの疑いが出た人たち。遺体捜索などを続けるうち、惨事ストレスを感じ始めたとみられる。中でも、沿岸で勤務する職員のストレスは深刻だ。同月のアンケートで、宮古、釜石署など沿岸5署で、職員399人中35人(8・8%)が「疑いあり」とされた。
大船渡署の津田勝則副署長は「署員たちは震災直後、仲間を失い、家族と連絡も取れない状態で勤務した。誰もがストレスを感じていた」と振り返る。職員の中には、アンケートに「自身も被災した。職務にあたるのは落ち着かない」「亡くなった同僚を思うとやりきれない」とする人や、逆に「現場に行けずもどかしい」と訴える人もいたという。
同課の菊池晃光課長は「仲間と悩みを話し合うなど、少しでも気持ちを楽にしてほしい。全国の警察から出向してもらっている警察官もおり、長く震災対応にあたるため、中長期的に見守っていきたい」と話す。
東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害心理学)は「高い規律下にある警察官は過酷な状況でも、使命感から職務を遂行する傾向がある。定期的に仲間と悩みを話し合うなど、ストレスを和らげる方策が必要だ」と指摘する。
<惨事ストレス>
災害や事故の悲惨な現場に遭遇した際に受ける心的ダメージで、心身に不調が生じる。医療関係者やボランティアにも多く、「職責を果たせていない」と悩むケースが目立つ。ストレスが蓄積し過ぎると、PTSDの恐れもある。
(2012年5月25日 読売新聞)
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