[女子大で特別講義]出産いつ?考え人生設計

 「いつかは子どもを持ちたい」と思いながら、「今は仕事が忙しいから」「ともに子育てできるパートナーがいない」などと先延ばしにする女性は多い。子どもが欲しい人が願いを実現できるよう、若いうちから妊娠・出産を含めた人生設計を考えてもらおうという取り組みが始まっている。(針原陽子)

妊娠率、30歳から低下

 「就職の時は、妊娠・出産のことは全く念頭にありませんでしたが、結果的には早く産んでよかったと思います」(ファッションブランド勤務・松田絵奈さん)

 「当時いた会社では、子どもを育てながら働くのは難しいと考え、両立できる会社に再就職しました」(営業事務・石井朋子さん)

 4月上旬、東京・市ヶ谷の大妻女子大学で開かれた「仕事、結婚、出産。女子学生のためのライフプランニング講座」。国立成育医療研究センター不妊診療科医長の斉藤英和さん、フリージャーナリストの白河桃子さんの講義に続き、20歳代で出産後、働き続けているゲスト2人が経験を語った。

 憧れの職についた松田さんは数年間、仕事漬けの日々を送りながら、「いつかは子どもを持ちたい」と漠然と考えていた。出産を本気で考えるようになったのは、身近な人が不妊治療を受けていることを知ったのがきっかけ。「子どもは産めて当然と思っていたけれど、そうではないんだ、とショックを受けた」という。同じ職場に子育て中の同僚がいたこともあり、29歳で出産に踏み切った。

 石井さんは、大手広告会社で働いていたが、仕事はハードで「女性は若くないと働けない感じ」。出産2か月前に退社し、29歳で第1子出産後に現在の会社に再就職した。「育児に理解がある今の会社は働きやすく、満足している」と話す。

 講義を受けた学生は「就職のことで頭がいっぱいで、妊娠・出産は後回しに考えていたけれど、これからきちんと考えたい」と話した。

 この特別講義は、同大家政学部ライフデザイン学科教授の小沢千穂子さんが、白河さんから提案を受けて実現した。小沢さんは「現代女性には、子どもを産む・産まないをはじめ、様々な選択肢がある。ただ、『いずれ子どもを産みたい』と考えていたのに、気づいたら年齢の面で産めなくなっていたという例がとても多い。それを防ぐには情報提供が重要だと考え、講義をお願いした」とする。

 女性の平均初婚年齢(2010年で28・8歳)と、母親の第1子出生時平均年齢(同29・9歳)は、20年前に比べて約3歳上昇している。斉藤さんは「人の寿命が延びても、人が妊娠できる期間は変わらず、妊娠率は30歳から徐々に低下する。若いうちなら、タイミングを合わせれば5割ぐらいが自然妊娠するが、年をとるほど体外受精でも妊娠しにくくなる。例えば44歳の人が高度治療をしても出産できるのは100人に1人だけだ」と指摘する。

 白河さんは「女性には仕事、結婚、子どもという『三つの山』があるが、子どもだけは時間制限がある。母親の世代は専業主婦になるのが一般的だったが、今は、家族を養える収入を得られる男性はごくわずかになった。現代は働きながら結婚し、産み育てる時代。若い人には、自分の将来設計をきちんと考え、望みを実現させてほしい」と話している。

2012年5月24日 読売新聞)

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