顔面神経良性腫瘍(2)「俺、右の耳は捨てた」
右耳の聴力を奪った腫瘍は幸いにも良性だった。
最初の診断から2か月後の2009年7月、MRI(磁気共鳴画像)で撮った精密な画像を前に、医師から詳しく説明を受けた。
鼓膜の奥の顔面神経にできた腫瘍は、手術で取り除ける。しかし、同時に顔面神経を切断し、つなぎ直す必要があるという。
「顔面にまひが出ます。歌手という仕事上、手術はおすすめできません」と医師は告げた。
病院からの帰途、マネジャーらを焼き肉屋に誘い、その場で仕事先の出来事などをつづっているインターネットのブログに思いを書いた。
「俺、右の耳は捨てた。左の耳とともに生きていく」
ショックで投げやりな気分になっていた。
すぐに反響があった。心配した多くのファンがコメントを寄せてくれたのだ。「少しの可能性でも信じて他の病院も当たってみてください」「きっといい治療法があると信じています」「私も良性腫瘍で治療を受けました。応援しています」。ありがたい思いで胸がいっぱいになった。
急きょ、芸能リポーターに集まってもらった。右耳の奥の腫瘍について説明し、「負けないで治療法を探したい」と話した。
顔面まひの後遺症を起こさずに腫瘍が取り除けないか。友人から医師の紹介を受け、可能性を探った。
(2012年5月24日 読売新聞)
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