(5)起きるにはまず「寝返り」
ベッド上での生活が長い人にとって、寝返りはとても大事です。床ずれの防止だけでなく、一連の動作がリハビリにつながります。
寝返りは、お年寄りにほんの少しの力が残っていれば、自分でできる場合が多いのです。できるようになれば、自分で起き上がれる見込みも高まります。
寝返りができるかどうか見極めるポイントは三つ。〈1〉手の力(握力)はあるか〈2〉ひざが曲がるか〈3〉起きる目的があるか――です。
まずは、手を握ってみましょう。こちらの手をぎゅっと握り返してくる力があれば、手すりなどにつかまって寝返りできる可能性が十分にあります。ベッドの手すりに届かなければ、握りやすい太さのホースを適当な長さに切って針金を通し、手すりにくくりつけるといいですよ。
手を握るのは、家族だと少し気恥ずかしいかもしれませんね。でも、改めてじっくり手を眺めると、いろいろなことに気付きます。温かさ、皮膚の乾燥、体調、気力。お年寄りの人生を振り返り、心を通わせるきっかけにもなります。
ひざが曲がるのであれば、あおむけの状態でひざを立て、腰を少し浮かせながら足裏でマットレスをけってもらいます。これで寝返りが可能になります。
一番重要なのは、寝返りをして起き上がりたくなる目的や楽しみがあることです。何としても起き上がりたいと思えば、思わぬ力を発揮してくれるものです。
どんな夢があるか、お年寄りに聞いてみてください。「何もない」と言われたら、一緒に探しましょう。昔の思い出話を聞いて、懐かしい場所に行こうと誘ってみる。「大丈夫。きっとできる」と信じ、夢に向かって共に歩き出しましょう。寝返りはその第一歩です。(青山幸広、介護アドバイザー)
(2012年5月2日 読売新聞)
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