Dr.北村の「性」の診察室ブログ
2012年4月27日
妊娠を科学する

「赤ちゃんはどうやってできるのですか」。子どもからこう問われたときに、あなたならどう答えますか。僕の答えはこうです。
赤ちゃんは突然できるわけではありません。コウノトリが運んでくれたとか、神様があなたの家の玄関の前に置き去りにしたわけでもありません。赤ちゃんの誕生は、男性のカラダの中で作られる精子と女性のカラダから出てくる卵子の合体のドラマから始まります。
男女別々のカラダにある精子と卵子の合体にはそれを効率よく行う方法、性交が必要になります。女性の腟の中に送り込まれた2~3億個もの精子が、卵子を目指して泳ぎ出します。そのうちのたったひとつの精子が、卵子と出会って受精卵になります。この受精卵が1週間ほどかけて子宮へと進み、子宮内膜にくっつくことを着床といい、着床が成立したことを妊娠といいます。さらに、40週間近く女性のカラダの中で育てられることで赤ちゃんの誕生となります。
したがって、あなたの誕生は、あなたのお父さんとお母さんの性交、その後、ご両親によって大切に育てられた結果なのです。
でも、このドラマはいつもうまくいくとは限りません。精子の寿命は3日から5日。約1ヵ月に1個出てくる卵子の寿命は約24時間。この間に性交が行われなかった。仮に性交しても受精しなかった。受精しても着床に至らなかったとなれば妊娠は成立しませんし、赤ちゃんの誕生には至りません。妊娠しても、お母さんのカラダの状態によっては中絶といって妊娠を中断しなければならなくなることもあります。こう考えると、赤ちゃんの誕生とはまさに奇跡の連続の結果なのです。
妊娠の成立には授精・排卵・受精・着床の4段階があり、これら一連の生殖過程が完了することを受胎といいます。したがって、妊娠の成立には精子と卵子の合体、すなわち受精が不可欠であり、そのためにも性交、あるいは人工授精や体外受精などの行為が必須です。併せて、排卵の始まった女性が性交によって精子を受け入れる機会があるならば、初経から閉経まで、すなわち生殖可能年齢にある女性であれば誰でも妊娠と直面しています。ウイルコックス(Wilcox)博士によれば、避妊なしの性交が行われた場合の妊娠率は排卵日が36%となっています。卵子の生存が8~24時間であるために、精子の寿命と関連して排卵前に行われた性交が妊娠に至ることは当然です。
クリニックの場で、妊娠しているかどうかを判断する場合には、まず問診によって性交の有無を確認することから始まります。妊娠に伴って生理的に月経が停止することはよく知られていますが、ダイエットや、ストレス、過度の運動などでも無月経になりますし、その他結核、腎臓病など全身性の疾患でも無月経の認められることがあります。中には、妊娠が成立しても少量の出血をみることがあります。つわり、微熱、乳房の変化、頻尿、体重増加などは妊娠に伴って起こり得る所見ではあっても断定することはできません。いずれの手段であっても胎児の存在を確認することが重要となります。
妊娠が成立すると胎盤が形成され、その中の絨毛細胞からhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、human chorionic gonadotropin)が分泌されます。これが血液中を流れ、腎臓から尿中へ排泄されることを利用して定性・定量する方法が尿による妊娠反応です。
一般用妊娠検査薬が1992年7月から薬局の窓口で販売されるようになっていますが、それを利用する女性達が、検査薬の限界と可能性十分理解しているかに疑問を抱くことが少なくありません。検査の時期や検査方法に問題はないか。子宮外妊娠や胞状奇胎などの異常を見逃してはいないか、検査結果が陰性に出たことで安心しその後の避妊を忘れてしまわないかが心配です。したがって、妊娠の不安に駆られたらまずは産婦人科で受診することが何よりも大切だってことを知っていてください。
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- プロフィール
- 北村邦夫(きたむら・くにお)
- 自治医科大学医学部卒業後、産婦人科医として保健所など衛生行政の分野で実績を積み、1988年から日本家族計画協会クリニック所長。
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コメント
先日、パートナーと仲良くしました…
しかし、こちらの理性がなくなり避妊なしでの行為となってしまいました。
射精じたいは腟外なのですが後々調べるとパートナーは危険日でした…
妊娠の可能性はどれぐらいかわかりますか…?
授精と受精の意味の違い、気がつきませんでした。
人為的行為によってが授精。
卵子と精子が出会って卵子の中へ精子が入り込んで細胞分裂が可能になるのを受精でしょうか?
精子の生存日数というのが難関ですね。
市販薬で自己診断に持ち込む危うさもある。
やはりクリニックや医院に出向いて受診するのが確実な妊娠の有無の検査手段なんですね。
子供を望む人は意外とあと何日しないと判らないからと言いながら市販の検査キットを使う日にちを待っているのは知っていますが、妊娠を望まない方にはやはりプロの指導が必要だと思います。
悲しいかな両親等に知られたくないと後手に回る事例もありますよね。
やはりカップルになって体を許せる仲でも避妊は必要だと思います。女性がする事と男性がする事。
諸外国ではもう子供はいいとなると男性がパイプカットなどを選ぶカップルもかなりいると思います。
配偶者の同意のサインは必須でしょうけど。
授精がある以上100%可能な避妊はないと考えると受診という事の大切さをもっと各自が知る事が最良ですね。
男女が出会い、精子と卵子が出会い、数億分の1の確率で受精して、長い旅の果てに着床。さらに長い間大事に育まれて、ママが苦しんだ末にやっとこの世に誕生する。奇跡と苦難を乗り越えて生まれた命。大事にしなければいけませんね。
自ら命を絶ったり、薬物に染まったり、悪事を働いたりしちゃ罰が当たります。
そして自分の誕生日にはお母さんに感謝しましょう。