[精神科医が語る認知症](1)「入院しかない」わけじゃない
みなさん、こんにちは。千葉県旭市にある精神科病院「
私が認知症の人の精神科診療に携わったのは、東京都立松沢病院で認知症病棟を担当した2004年からです。松沢病院には、他の精神科病院では治療が難しい重い循環器の病気などを併せ持つ人や、幻覚や妄想、暴力といった精神症状や行動障害が激しい人が来院し、3年間で約180人に入院治療を行いました。
当時の私は、認知症の症状が重ければ精神科への入院が不可欠だと考えていました。そして、認知症の人に入院を中心とした理想の精神科医療をしようと、認知症病棟の新設計画があった当院に転職したのです。
一般に、
まず、認知症の高齢者などを対象とした外来を開設すると、「入院させてほしい」と家族が希望する切羽詰まった状態の方がたくさん来院されます。ただ、入院可能な病棟がないため、外来診療のみで支える方法を工夫しました。すると、入院でしか対応できないと考えていた人でも、地域で暮らし続けることができることがわかったのです。
2年半で600人以上の認知症の人を診療しましたが、精神科に入院したのは十数人にとどまりました。私自身、大変驚くとともに、考え方が大きく変わりました。こうして当院の認知症病棟の新設計画も中止されることになったのです。
これから先、認知症とはどんなものなのか、どのように認知症の人を地域で診療していくといいのかなど、私の体験をお話ししていきたいと思います。
上野秀樹(うえの・ひでき) 1992年、東大医学部卒。小金井病院、都立松沢病院勤務を経て、2008年から海上寮療養所。日本精神神経学会専門医。
(2012年4月26日 読売新聞)
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