(11)前倒しで受給できる?

  定年後の家計が苦しくなりそう。年金を前倒しでもらうことはできますか。

60歳から可能だが一生減額

 全国民共通の基礎年金の支給開始は65歳です。サラリーマンが加入する厚生年金の支給開始も60歳から65歳へと段階的に引き上げられているところで、今は60歳から受け取れるのはかつての半額程度。年金が本格的にもらえるようになるまで、家計が苦しくなる場合もあるでしょう。

 そこで、基礎年金には60歳まで支給開始を前倒しできる制度が設けられています。「繰り上げ支給」と言って、1か月単位で繰り上げることができます。ただし、その期間に応じて年金額は減額され、一生そのままです。

 減額幅は、1941年4月2日以降生まれの場合、繰り上げ期間1か月につき0・5%。つまり、1年前倒しすると6%の減額です。

 基礎年金は40年加入の場合で月6・6万円程度なので、例えば63歳ちょうどから繰り上げ受給すると、12%減額で月約5・8万円。60歳ちょうどに繰り上げると30%減額で月約4・6万円になります。

 通常通り65歳から受給する場合とどちらが得か気になりますが、こればかりは事前に判断できません。何歳まで生きるかで違うからです。

 受給額の累計で比較してみましょう。60歳ちょうどに繰り上げた場合、通常受給に追い越される「損益分岐点」は76歳半ばです。それ以降は1年あたり約24万円ずつ差が拡大します。繰り上げ受給の開始年齢を1歳上げるごとに、損益分岐点は1歳アップ。64歳ちょうどからだと、80歳半ばになります。

 ただし、60歳代前半で厚生年金の「定額部分」(基礎年金相当分)をもらえる人は注意が必要です。基礎年金の全部を繰り上げ受給すると、定額部分が支給停止になるのです。1949年4月1日生まれまでの男性と、1954年4月1日生まれまでの女性が該当します。この人たちには定額部分と基礎年金の一部を繰り上げ受給する仕組みも用意されています。どちらが有利かは年金事務所で計算してもらいましょう。

 ほかにも注意点があります。通常は65歳前に障害を負うと、障害基礎年金の対象になりますが、繰り上げ受給を始めた後は除外されます。また、遺族厚生年金の受給権があっても、65歳になるまでは、どちらか一方しかもらえません。(林真奈美)

2012年4月23日 読売新聞)

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