[読み得 医療&介護]介護ボランティア、新展開
世代間の支え合いを取り入れ
ボランティアをするとポイントがたまり、換金もできる介護支援ボランティア制度を導入する自治体が増えている。当初は、高齢者の介護予防とともに、ポイントを介護保険料の一部に充ててもらうのが狙いだったが、世代間の支え合いを取り入れるなどの新たな取り組みも生まれている。(梅崎正直、写真も)
ポイント制度
毎日30人以上の高齢者が通う「聖母の園」(横浜市)のデイサービス。介護職員による入浴の後、利用者にドライヤーをかける間篠俊三郎さん(71)と山下政江さん(69)はボランティアだ。週に2、3回、活動するが、その度にポイントカードを持参する。
2人が利用するのは、横浜市の介護支援ボランティア制度「ヨコハマいきいきポイント」。65歳以上の人が、高齢者施設などでボランティアをした場合に、その実績がポイントとして積み重ねられる。1日の活動で200ポイントが加算される。1ポイント1円に換算され、年度ごとに8000円まで換金ができる。
このデイサービスのボランティア約300人のうち、60人ほどが同制度に登録。忙しい職員に代わり、利用者にお茶を入れたり、話し相手になったりする。間篠さんは「働いていた頃と同じように社会とつながり、貢献していることがやりがいになる」と話す。カードを持って、まだ日が浅い山下さんは「換金したらボランティア仲間とおいしいものでも食べに行きたい」と声を弾ませる。
子育ての場で
介護支援ボランティア制度は2007年に東京都稲城市が初めて導入し、昨年度末現在で50を超える自治体が実施している。高齢者に元気に活動してもらい、要介護になるのを予防するのが目的だ。自治体の委託を受けた社会福祉協議会などで研修を受け、ボランティアとして登録すると、ポイントカードやスタンプ帳をもらえる。たまったポイントは年に1回、換金を申し出て、介護保険料に充てることができる。換金の上限は、自治体で異なるが年間5000円程度が多い。
65歳以上の高齢者が高齢者施設などで活動するケースがほとんどだが、地域事情に応じた独自の仕組みを編み出した自治体もある。
0歳児と母親でにぎやかな子育てサロンに、4人のおばあちゃんの姿が。赤ちゃんを間に、若い母親たちと子育て談議をする彼女たちもまたボランティアだ。
鹿児島県霧島市は、市内に大企業の工場が多く、県外から転入する若い夫婦が多い。親戚や知人がいないなかで、子育てに一人で悩む母親が少なくないことから、市は子育て支援に力を入れている。そこで目を付けたのが介護支援ボランティアの制度。09年の導入時から、活動施設に保育所や幼稚園、地域の子育てサロンなどを加え、子育ての先輩である高齢者の力を活用することにした。
ボランティアの一人、立和田チキさん(74)は、制度創設時からのメンバー。泣いている子がいれば抱き上げ、若い親からの相談を聞く。遠方から引っ越してきた母親だと、鹿児島の方言がわからなくて引っ込み思案になっていることもあり、親身に話を聞く必要がある。「子どもたちといると楽しくて、当番でなくても来てしまう」と話す。
対象年齢拡大
ボランティア側の対象を拡大した自治体も。孤独死、孤立死の問題が深刻化するなか、在宅高齢者の見守りを優先課題とする新宿区。昨年度から介護支援ボランティアの対象を、「65歳以上」から「18歳以上」へと広げ、現金に換金できるポイントを与えている。20代を含む約500人のボランティアが、高齢者施設での活動のほか、在宅高齢者への訪問、安否の確認、日常生活の支援を行う。
介護支援ボランティアは本来、高齢者に健康を保ってもらい、介護保険制度の担い手とするのが狙いだ。一方で、少子高齢化は深刻で、世代ごとに制度を完結させるには限界もある。世代間の支え合いを加味したボランティア制度は、より多くの人が支え手に加わる契機の一つとなりそうだ。
(2012年4月23日 読売新聞)
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