(2)自宅での生活をお手伝い
はじめまして。訪問看護師の竹森です。私が最初に訪問看護の道に入ったのは2001年です。その前は、都心の大病院で働いていました。少しずつ仕事に慣れる中で、入院生活は人生ではごく短い期間で、多くを自宅で生活しているのだから、そこに関わっていくのが看護の大きな目標ではないか、と思ったのです。
訪問看護をしていると、病院を退院し、自宅に戻ってくる方々にお会いします。そのときの安心した表情が印象的です。見慣れた景色や聞き慣れた音に囲まれる心地よさ、他人に気を使い続けなくて良い気楽さ。病院と違い、常に専門のスタッフが来てくれるわけではありません。それでも、住み慣れた場所で過ごすこと、そこから得られるものは、理屈では言い表せないのだと思います。病院では座っていられなかったのに、自宅では食卓の自分の椅子に座る。病院では見られなかった変化を目の当たりにすることがたくさんあります。
一方で、訪問看護師はずっと付き添っているわけではないので、どうしても「点」の関わりになります。だからこそ、利用者自身や家族からお話を聞いたり、ケアマネジャーやかかりつけ医、介護職など、立場や専門性が異なる人々との情報共有や話し合いが大切です。家族だけでできることは限られるかもしれません。看護師だけでできることも限られています。それでも、相談し合うことで新しい気付きや工夫が生まれます。そのようにして、自宅での生活を続けていくためのお手伝いをするのが、訪問看護師です。
「こんな状態では退院できない」と思わないで下さい。このコラムでは、「どうすれば家に帰れるのか」、自宅で医療を継続しながら過ごすための方法について、ご紹介していきたいと思います。(竹森志穂、「訪問看護ステーションしろかね」所長)
(2012年4月11日 読売新聞)
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