1人で買い物 達成の喜び
子どもにとって、買い物やおつかいの経験は、達成感が得られたり、金銭感覚が養われたりする貴重な機会だ。安全で楽しいものとするには、どんなことに注意すればよいのだろう。
東京都内の母親(38)はこの春、小学2年生の長男(7)に、初めておつかいを頼んだ。長男は、自宅から数軒先のコンビニ店で牛乳を買って帰ってきた。「褒められて、自信がついたようです。またおつかいに行きたいと話しています」と母親は笑顔で振り返る。
ベネッセ食育研究所(東京)は2009年、「子どもがする手伝い」について、4歳から小学校6年生の子を持つ母親2781人に聞いた(複数回答)。「おつかいに行く」と答えたのは4割。年齢別では幼児が25%、小学校低学年が43%、高学年が60%だった。
白梅学園大学長の汐見稔幸さん(教育学、子ども学)は「買い物やおつかいの体験が、子どもの育ちに与える影響は大きい。ちゃんとできた、役に立てたという自信や達成感につながります」と語る。
ただし、年齢や成長にあったやり方で体験させることが大切だ。幼児期は、自宅で買い物ごっこをするなど遊び感覚で練習し、親が一緒に店に行った際、子どもに買い物やレジでの精算を任せてみる。親は少し距離を置いて見守り、まずは一つの商品を買わせることから始めるとよいだろう。店が混み合わない時間帯を選びたい。
一人でのおつかいは、交通ルールを守ることができ、言われたことがきちんとわかるようになってからにしたい。
小学校高学年くらいになったら、複数の商品の買い物を頼んだり、「あるメーカーの商品を買ってきて」といったより具体的なおつかいになることもある。そんな時、店に望んだ商品がなければ、「買わないで帰る」「似た商品を買う」など子どもの自己判断が必要になる。「困った時、一生懸命考えて事態を切り抜けたり、臨機応変に行動したりする練習にもなります」と汐見さんは話す。
やる気つなげる「ありがとう」
最大のポイントは、おつかいの後、「ありがとう。よくできたね」などとしっかり褒めることだ。買ってくるものを間違えたり、忘れたりしても、責めない。子どもの気持ちを尊重し、次のやる気につなげたい。
「子供のお金教育を考える会」代表のあんびるえつこさんは「おつかいを通して、物を買うにはお金を払わなくてはいけないこと、お釣りを間違えずにもらうことなど、社会のルールが学べる」と話す。
小学生と中学生の子どもがいるあんびるさんは、子どもと一緒に買い物に行った際、自分がどんな基準で買い物をしているか伝えているという。例えば、「産地をよく見て買っているのよ」とか、「値段と量を比べて、こちらが得だから買おう」など。こうした経験の積み重ねが、お金の大切さを実感したり、将来、小遣いの使い道を考えたりすることにつながる。
後で「買い物したときどんな気分だった?」「なぜこの商品を買おうと思ったの?」などと尋ねてみると、子どもならではの理由や気持ちを知ることもできる。親にとって、子どもの成長を実感できる機会になる。
(2012年4月20日 読売新聞)
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