医療相談室
- Question
透析中の糖尿病性網膜症患者、ステロイド注射は問題ない?
糖尿病から透析となり2年になります。眼科で糖尿病性網膜症のためレーザー治療を受けましたが、最近、右目に浮腫が出て「テノン嚢下注射」を勧められました。調べてみるとステロイド注射とのこと。透析患者には良くないと聞いていますが、大丈夫でしょうか? 注射でも改善しなければ手術とも言われました。(61歳男性)
- Answer
眼内注射なので影響は小さい、主治医に相談を
渡辺毅・福島県立医大病院糖尿病・内分泌代謝内科教授(福島市)
ステロイド剤は、病気によっては劇的に効果がありますが、比較的副作用も多い薬剤ですので、副作用をご心配されているのだと思います。一般に医療は魔術ではなく、副作用が全くない治療法は稀有ですが、副作用の可能性より効果の可能性が多く見込まれる場合に、治療をお勧めするのです。ご質問者の場合は、視力の保持という見込まれる効果のために眼科医が進めている訳です。
一方、糖尿病に対してステロイド剤は血糖を悪化させる作用が知られています。しかし、この場合は眼内の注射なので体内に吸収される量はわずかと推察され、かつ毎日連用する訳ではないので、注射をした日に若干血糖が上がる可能性は否定できませんが、持続性のステロイド注射でなければ一時的です。
また、ステロイド剤は、肝臓から排泄されますので、透析患者さんで通常以上に血中濃度が上がることはないと思います。勿論、糖尿病もステロイド剤も感染症のリスクは若干上昇しますが、無菌的な眼内注射ではそれほど大きなリスクにはならないと思います。したがって、糖尿病腎症による透析患者さんでも、眼科専門医によるステロイド剤眼内注射は、健康な患者さんの場合と比較してそれ程大きなリスクの上昇とはならないと思います。
また、さらに重要な点は、糖尿病や合併症の治療は長期にわたる治療ですので、患者さんと医師や看護師などの医療スタッフとの信頼関係が大変重要です。したがって、主治医に治療に関して心配している気持ちを率直に告げて、効果と副作用について説明を受けて、納得してから治療を受けられること(インフォ-ムドコンセント)が重要です。
このようなコラムでのご質問は、回答者は患者さんの病状を具体的には知らない訳ですから、主治医の説明に対するセカンドオピニオンとして、参考にしていただくことに留めるべきだと思います。(日本専門医制評価・認定機構協力)
(2012年4月20日 読売新聞)
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