妊婦さんもおしゃれに

出産経験デザインに活用

ホットパンツの商品説明をする佐藤さん(左)(桶川市若宮のリリークで)

 妊娠しておなかが大きくなってもおしゃれを楽しみたい――。そんなママさんの要望に応えているのが桶川市若宮の洋服店「リリーク」の店長兼デザイナーの佐藤紗矢香さん(29)が作ったマタニティー服だ。20歳代の2回出産経験を生かしたデザインは、県内の女性から熱い支持を受けている。

 「ここの洋服は安くてかわいい。もっと早くくればよかった」。夫と一緒に来店した妊娠中のさいたま市桜区の女性(28)は、興奮気味に店内を見て回った。

 「このホットパンツは臨月でも、出産後もはけるんですよ」。佐藤さんが商品を手に説明をする。花柄のジャンプスーツなど、若い女性向けの店と変わらないセンスの服ばかりだが、おなかが見えないように前面の丈を長くするなど、工夫が凝らしてある。価格は5000円前後におさえた。

 佐藤さんがマタニティー服のデザインを始めたのは、出産を経験した後だ。武蔵野美術大でファッションを学んだ後、ジーンズメーカーに2年勤務した。しかし、24歳で出産した長女に、先天性の心臓の病気が見つかったため、やむなく退社。フリーのデザイナーとして、次女を妊娠中に約50社にデザイン画を持ち込んだ。小さな仕事が入るようになり、マタニティー服のデニムを何本かデザインした。

 マタニティー服というと、一般に地味な色合いで、だぼっとした形が多い。佐藤さんも妊娠中、「周りから『お母さんらしい服装』を求められているようで嫌だった」という。若い妊婦さん向けのカジュアルブランドの立ち上げを通販会社の社長に提案し、2010年春、オリジナルブランド「ドレスアワー」の販売を開始。スキニージーンズは、約4000本を売り上げるヒットとなった。

 自分の世界観を直接表現するために開いたのがこの約55平方メートルの店だ。2011年3月のオープン以来、口コミで評判が広まり、今では越谷や鶴ヶ島から車で来る人もいる。デザインを気に入り、出産後も通ってくれるお客もいる。

 「お母さんたちがいろんな束縛から解放されて、お店で楽しんでくれた時が一番うれしい」と佐藤さん。10年に離婚し、シングルマザーとなったが、最近は若手女性起業家として講演を頼まれる機会も増えた。「私のお店や、美容院、託児所などが一緒になったママのためのビルを建てるのが夢です」と生き生きと語った。

2012年4月13日 読売新聞)

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