脳と腸のつながり…便秘・下痢、心にも悪影響
脳と腸は深く結びついている。心理的ストレスが便秘や下痢など腸の不調を生む一方、逆に腸の不調がストレスになり、心の不調をもたらすことも分かってきた。治りにくい心身の不調には、この仕組みが働いていることが多いという。(藤田勝)
おなか整えストレスも改善
東京都立川市でクリニックを開業する消化器内科医の
昨年3月、東日本大震災発生から数日たつと、クリニックの便秘外来を受診する患者が目立って増えた。以前は特に腸に問題なかったのに、便秘など腸の不調を自覚するようになった人たちだ。
「腸の不調を訴える人は一般に、心理的ストレスも抱えていることが多いが、東京でも大震災で不安やストレスを感じて、腸の調子が悪くなった人が多かったのではないか」と松生さんは推測する。
臓器をコントロールする自律神経には、興奮時に優位に働く交感神経と、リラックス時に優位に働く副交感神経がある。強いストレスは交感神経を優位にして腸の動きを悪くし、便秘につながる。リラックスすれば副交感神経が優位になって腸の動きが良くなる。ストレスによる腸の不調には、便秘のほか、腹痛や胃もたれ、胸やけ、吐き気などもある。
こうした仕組みは知られていたが、近年、腸の不調も脳に影響を及ぼすと考えられるようになった。
実際、慢性的な便秘患者44人に4週間、植物性乳酸菌のサプリメントを飲んでもらい、腸内環境を改善したところ、不安や抑うつも改善したことが心理テストで確認できたという。
松生さんは「腸を守るにはストレス対策が大事だが、腸が良くなれば心のストレスも改善する」と話す。
東北大医学部教授(行動医学)の
過敏性腸症候群は、がんや潰瘍など腸に明らかな異常がないのに、腹痛や腹部の不快感、下痢、便秘などが慢性的に続く病気だ。内臓の知覚が過敏で、大腸が過剰に動くという。先進国に多い病気として注目されている。
福土さんらは、大腸に刺激を与えて、その時の脳の反応を調べた。すると、過敏性腸症候群の患者では、刺激に反応する脳の部位の血流の増え方が健常者よりも大きく、周辺のうつや不安に関する部位の血流も増えていた。
「腸の不調が単なる痛みや不快感だけでなく、心理面にも影響を及ぼし、悪循環を生んでいるようだ」と福土さん。
過敏性腸症候群の原因は不明だが、福土さんらの最新研究では、子育ての仕方が影響している可能性も示された。過敏性腸症候群の症状がある7歳の子どもに、音の刺激を与えて脳波を調べたところ、脳が非常に過敏になっていた。さらに、そうした子どもは、母親の手のかけ方が足りなかったり、過保護だったりする傾向があることがわかった。
福土さんは「養育は脳の神経の発達に影響し、それが過敏性腸症候群の発症につながっている可能性がある」と話している。
便秘や下痢を単なる腸の不調と決めつけず、心理的側面まで含めて生活を点検し直すことも大切だ。
腸は脳の「先輩格」
クラゲやイソギンチャクなどの
(2012年4月5日 読売新聞)
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