外国人と共に(下)日系人 お年寄りのそばに
経済危機後、工場勤務から転身
多くの日系定住外国人が暮らす地域で、外国人を積極的に介護の担い手に育てようという施設や団体が現れた。製造工場の仕事を失った人が多く、日本語習得や離職防止が課題になっている。(野口博文、写真も)
人手不足救う
「人手不足だった法人を救ってくれたのは、地域の外国人の方々です」。三重県四日市市の社会福祉法人「青山里会」の三瀬正幸・人事室長は、感慨深げに語る。介護施設などを県内7か所で運営する同法人で働く介護職員は計約500人。うち50人以上が外国人で、実に10人に1人を占める。
介護職員のバセット・アリス・テルコさん(55)もその一人。1996年にブラジルから来日し、これまで車の部品や食品の製造工場で働いてきた。「毎日、同じ作業の繰り返しで、自分はロボットみたいだった」。2008年12月に同法人に就職し、日本語も本格的に覚え始めた。「お年寄りは一人ひとり違う。お風呂で気持ちよさそうにしていると、うれしい」と、ほほ笑む。
人口約31万人の同市には、ブラジル人を中心に約8300人の外国人が暮らす。同市や周辺には自動車や家電の製造工場が集まっており、そこで働く人が多い。しかし、08年秋のリーマンショック以降、多数の外国人が失職。同法人では、08年10月に初めて外国人を採用したところ、工場勤務者を中心に応募が増え、多い月には15人を雇用した。
工場では、同僚が外国人ばかりで、日本語をほとんど使わなくても済むため、日本語能力が乏しい人が多い。このため、同法人は、就業時間内に日本語を学べる時間を用意し、ひらがなから指導。日本人職員との親睦会や旅行などの機会を設け、定着を図っている。
日本語教室も
ただ、こうした取り組みを行う施設は珍しい。国も、日本語が不十分で再就職が難しい外国人の支援に乗り出している。その一つが、文化庁が主催団体を募集し、費用を補助して開かれる日本語教室だ。
製造現場の仕事を失う外国人が相次いだ浜松市では、浜松国際交流協会が09年、文化庁の支援を受け、介護業界への就職を目指す外国人を対象とした日本語教室を開いた。30人が受講し、13人が就職した。企画した同協会の堀
ただし、職場になじめない人も少なくない。同市内では、昨年11月に一般社団法人「グローバル人財サポート浜松」も設立された。日系ブラジル人の中島イルマさん(41)が代表となり、やはり文化庁の補助を受けて、介護現場で働く外国人を対象にした日本語教室を開いている。
15人が登録する教室では、日本語教師のアドバイスを受け、体調の悪い高齢者の様子を看護師に報告する模擬練習を行った。童謡「ふるさと」の歌や、肉じゃがの作り方も学んだ。
京都大の
| 日系定住外国人 |
|---|
| 日本人の子孫として入国、在留が認められるブラジル人やペルー人を中心とする日系人とその家族。1988年以降、入国者が急増し、雇用先の工場が多い都市に居住する。活動内容に制限はなく、自由に就労できる。両国で約28万人(2010年末現在)。 |
(2012年3月13日 読売新聞)
介護フロンティア 最新記事 一覧はこちら
- 外国人と共に(下)日系人 お年寄りのそばに(2012年3月13日)
- 外国人と共に(上)介護士候補、職員に刺激(2012年3月6日)
- 震災1年を前に(4)介護現場 雇用受け皿に(2012年3月2日)
- 震災1年を前に(3)仮設のバリアフリー 急務(2012年3月1日)
- 震災1年を前に(2)全国から医師 被災地へ(2012年2月29日)
- 震災1年を前に(1)特養再開 人手確保難しく(2012年2月28日)
- 認知症の地域連携(下)「サポート医」活用がカギ(2012年1月24日)
- 認知症の地域連携(上)特製の用紙で情報共有(2012年1月17日)
- 負担軽減へ、進むロボ開発(2011年12月27日)
- 排せつケア(下)退院後、おむつ外しに効果(2011年11月15日)
