医療功労賞

第40回 医療功労賞 全国表彰18人の横顔

 国内外の困難な環境の下、長年にわたり献身的に活動してきた医療関係者を表彰する「第40回医療功労賞」の全国表彰者18人が決まった。今回は国内部門が15人、海外部門が3人。3月16日、東京・帝国ホテルで行われる表彰式を前に、受賞者の横顔を紹介する。(文中敬称略)

 主催:読売新聞社
 後援:厚生労働省・日本テレビ放送網
 協賛:エーザイ

国内部門 15名

訪問看護 リハビリ重視

 

 小島 清幸(こじま きよゆき)65 理学療法士


 1974年に当時極めて少なかった理学療法士の資格を取得。以来、さまざまな疾患をもつ患者のリハビリに取り組んできた。2001年には道内の理学療法士として初めて起業し、リハビリに重点をおいたデイサービスや訪問看護に着手。「患者に優しく、誠実に」をモットーに、今後も高齢化の進む地域で活動を続けていく。<北海道室蘭市>


超重症児向け病棟開設

 

 西野 千郷(にしの ちさと)70 医師


 1996年に重症心身障害児施設「札幌あゆみの園」の園長として赴任以来、重症児医療の環境改善に取り組んだ。当時、全国的にも不足していた超重症児病棟を開設し、入院医療を積極的に推進。また短期入所や居宅介護事業などの各種医療福祉サービスも拡充するなど、地域の重症児医療を発展させた功績は大きい。<札幌市>


てんかん専門部門創設

 

 伊東 宗行(いとう むねゆき)74 医師


 1962年に岩手医大を卒業後、小児科医として子供の診療に携わってきた。83年に国立療養所釜石病院長に就任し、重症心身障害児者に多いてんかんの専門部門を県内で初めて創設した。重症心身障害児施設「みちのく療育園」では、2001年の開設以来、施設長を務め、今も現役医師として患者と向き合い続けている。<岩手県矢巾町>


神経難病患者・家族を支援

 

 舟田 由美子(ふなだ ゆみこ)50 看護師


 在宅の筋萎縮性側索硬化症(ALS)など神経難病患者とその家族を支援するため、さまざまな施策を行ってきた。介護ヘルパーに対する痰の吸引のための講習会や介護する家族の負担軽減のため一時的に患者を受け入れる「レスパイト入院」の実施など、患者の家族を支援する環境づくりに大きく貢献した。<福島県会津若松市>


肢体不自由児の療育貢献

 

 古谷 彊(ふるや つとむ)79 医師


 1966年に柏市に整形外科病院を開業し、地域の労災医療や救急医療、身体障害者医療などを一手に担ってきた。障害を持つ子供の親の切実な声を聞き同年、「肢体不自由児を育てる会」を設立。以来46年間、「肢体不自由児に十分な療育を」をモットーに、母親と障害児に対する療育指導に貢献している。<千葉県柏市>


住民の健康増進に注力

 

 吉居 富美子(よしい とみこ)69 保健師


 「病院に来ない人にも健康の大切さを呼びかけたい」との思いを胸に保健師として40年以上、生活習慣病の予防活動に取り組んできた。結核対策の健康診断に血圧測定を導入した脳卒中の予防対策や、地域ぐるみの健康づくり活動の基盤整備に貢献した。退職後も寸劇による啓発活動を精力的に行うなど、住民の健康増進に力を注いでいる。<富山市>


在宅療養者ケアに奔走

 

 唐木 美代子(からき みよこ)57 保健師


 生活に密着した地域医療の最前線で取り組みたいと、30年以上の長きにわたり在宅療養者のケアに奔走してきた。看取りと診療のための巡回診療車の導入や近隣の医療関係者とのネットワークの整備、介護予防事業の推進にも尽力。急速な高齢化が進む中、地元の介護認定率の低さは県内トップクラスを維持している。<山梨県北杜市>


産科・小児科の連携図る

 

 西村 佳子(にしむら よしこ)67 助産師


 舞鶴市を中心に、厳しい環境に置かれている母子周産期医療に力を注いできた。1982年に国立舞鶴病院母子医療センターが設立され、翌年に看護師長に就任。妊婦がより安心して出産に臨めるように、産科と小児科の連携を強化した。また、同病院精神科では、当時まだあまり認知されていなかった産後うつのケアに努めた。<京都府舞鶴市>


24時間の救急体制整備

 

 三木 一仁(みき かずひと)63 医師


 三重県、奈良県に隣接する和歌山県東南部の市立病院の脳神経外科医として勤務。2001年に病院の老朽化などに伴い、市立医療センターとして旧市内から郊外に移転する際に陣頭指揮を執り、急性期医療の充実に努めた。移転後も地元の開業医と連携し、地域の中核病院として24時間の救急体制を整えた。<和歌山県新宮市>


病気でなく病人を診る

 

 湯川 喜美(ゆかわ きみ)75 医師


 大学卒業後の1963年、倉吉市の山間部で診療所を営む親族が急逝したため急きょ同地で開業。その後、県の中核病院の医師として地域医療に取り組み、99年には地元三朝町で再び開業医に。「病気を見る医者より、病人を診る医者になれ」という座右の銘の通り、患者一人ひとりと対話を重ねる姿勢に住民からの信頼も厚い。<鳥取県三朝町>


障害児の環境向上尽力

 

 伊達 伸也(だて しんや)56 医師


 1992年に肢体不自由児施設の県立松江整肢学園の副園長に就任以来、重症心身障害児医療・療育活動に取り組んできた。県から施設の移管を受け、医療機能の拡充と暮らしやすい環境整備のため施設の全面改修を実施。必要な時だけ施設で過ごすショートステイや在宅の障害児に対する制度作りへの働きかけにも余念がない。<松江市>


療養所の無償診療継続

 

 大島 昭夫(おおしま あきお)75 医師


 開業医としての診療の傍ら、ハンセン病療養所である国立療養所長島愛生園で、耳、咽頭の変形や嚥下などの機能障害を患った入所者に対し、1995年より毎週欠かさずボランティアとして耳鼻咽喉科の診療を続けてきた。入所者からの信頼も厚く、同園では欠かせない存在として週1回の診療を心待ちにする入所者の期待に応えている。<岡山県倉敷市>


新生児死亡率減に努める

 

 古川 正強(ふるかわ せいきょう)71 医師


 国立療養所香川小児病院の小児科医長として赴任以来、全国初となる小児救急患者の24時間受け入れや、新生児、未熟児の搬送を行うドクターカーの導入など、新生児死亡率の減少に大きく貢献。2003年に副院長に就任後も他の医療機関との連携強化に努め、周産期の母子医療の向上に取り組んできた。<香川県善通寺市>


妊婦の無介助分娩解消

 

 秋田 美智子(あきた みちこ)73 保健師


 県の保健師として、山間部で伝染病予防の検診や妊婦や乳幼児の保健活動に努め、妊婦の無介助分娩の解消や乳児の先天性股関節脱臼の予防、早期発見に大きく寄与した。退職後の1999年、市町村の多様化するニーズに対応するため「県在宅保健活動者なでしこの会」を設立し、県内の保健活動をサポートする体制の基礎を作り上げた。<高知市>


地域の歯科医療61年間

 

 高良 政利(たから まさとし)85 歯科医師


 戦後まもない1951年に、医師不足や医療器具、薬品の入手が困難など、劣悪な医療環境の中で歯科医院を開業。以来61年の長きにわたり、地域の歯科医療を支え続けてきた。沖縄県歯科医師会立口腔衛生センターの開設当初から現在に至るまで、重度心身障害者を含む障害者歯科治療の充実と福祉の向上に尽力した。<那覇市>


 

海外部門 3名

地域に根ざした技術指導

 

 清水 直美(しみず なおみ)55 看護師


 ネパール、ラオス、インドネシアの病院で、看護職への看護技術の指導や地域に根ざしたマニュアル作りなど、看護システムの構築に大きく貢献。ネパールでは、結核対策としてのフィールドワーカーの指導や結核予防の啓蒙活動にも力を注いだ。現地の文化や宗教などを積極的に理解し、指導する姿に現地の人々からの信頼も厚い。<札幌市>


中米に看護体制の礎築く

 

 小川 正子(おがわ まさこ)60 大学教員


 看護教育分野の専門家として中南米6か国で活動してきた。1997年にエルサルバドルの看護強化プロジェクトのチーフアドバイザーに就任。同国の看護カリキュラムの改善や教材の作成、国家試験の導入に尽力した。また自らが教育した看護分野の専門家を周辺諸国へ派遣するなど中米全体にわたる看護体制の礎を築いた。<福岡県久留米市>


自閉症児療育学級を設立

 

 菊地 義治(きくち よしはる)71 団体役員


 サンパウロ日伯援護協会会長として、医療過疎地への巡回診療、日本語で診察を受けられる病院の運営など、世界最大の日系社会を抱えるサンパウロ州の医療・福祉分野で多大な貢献をしてきた。特に、ブラジル初の自閉症児療育学級の創立と自閉症児の自立支援活動は、ブラジルの医療、福祉関係者からも注目を集めている。<ブラジル・サンパウロ>


中央選考委員(敬称略)
 高久史麿(自治医科大学学長)
 林謙治(国立保健医療科学院院長)
 加藤達夫(国立成育医療研究センター理事長・総長)
 岩尾總一郎(国際医療福祉大学副学長)
 松谷有希雄(国立療養所多磨全生園園長)
 井部俊子(聖路加看護大学学長)
 阿曽沼慎司(厚生労働事務次官)
 大谷泰夫(厚生労働省医政局長)
 外山千也(厚生労働省健康局長)
 大久保好男(日本テレビ放送網社長)
 内藤晴夫(エーザイ社長)
 白石興二郎(読売新聞グループ本社社長)
 久保博(読売新聞東京本社事業局長)

(2012年3月7日 読売新聞)

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