小川恵子の漢方で健康生活

金沢大学附属病院の和漢診療外来の小川恵子さんが、漢方医学における病気や症状、治療法から、健康に役立つ日常生活へのアドバイスなど、わかりやすく解説します。 ※ ドクター柴原の漢方塾はこちら

2012年10月26日

世界の中の漢方医学

 WHO(世界保健機関)の統計によると、多くの先進国では70~80%の患者が何らかの補完代替医療を利用していて、そのうち漢方医学を含む植物療法は大きな位置を占めているのです。日本漢方は、中医学(TCM:Traditional Chinese Medicine)から派生したものですが、独自の発展を遂げてきました。漢方医学というと、日本国内だけで用いられていると思われるかもしれませんが、漢方医学を含む植物療法は世界で用いられ始めています。今回で、漢方ブログも最終回ですが、締めくくりとして、漢方医学を取り巻く世界の情勢をお話ししたいと思います。

2012年10月19日

糖尿病と漢方と糖質制限食

 糖尿病の日本国内の患者数は、高齢化が進んだためでもあるのですが、この40年間で約3万人から700万人程度にまで、実に230倍増加しています。糖尿病予備軍すなわち境界型糖尿病を含めると2000万人に及ぶとも言われています。糖尿病にはいくつか種類がありますが、生活習慣などが原因となって起こる、最も頻度の高い(日本では95%以上)タイプは2型糖尿病です。2型糖尿病には、インスリン分泌量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞のインスリン感受性が低いために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがあります。

2012年10月12日

慢性腎不全

 早いもので、漢方ブログも今回を含めてあと3回で終了となります。残り少なくなりましたが、少しでも漢方のことを知っていただけるようにお話ししていきたいと思います。
 腎臓は、重要な臓器です。尿を体外に出すということは、人体にとって老廃物を体外に出すことで、言うまでもなく、腎臓がこの機能を司(つかさど)っています。慢性(数カ月~数年)に進行する腎臓の病気によって、徐々に腎機能の低下が進行する病態(状態)を慢性腎不全と言います。原因としては、慢性糸球体腎炎が一番多くて50%、次いで糖尿病性腎症で15%と言われています。

2012年10月5日

生理痛

 私は高校生の頃、女性に生まれて損だと思っていた時期がありました。その理由のひとつが生理痛でした。下腹部痛が結構ひどくて、授業中も苦痛でした。まさに、月経=憂鬱(ゆううつ)でしたし、邪魔なものだと思っていたくらいです。
 生理痛など、月経に伴う病的状態のことを月経困難症と言います。一般的には、少し前までは、月経困難症は仕方のないものだとか、鎮痛剤で対症的療法を行うと考えられていたようです。しかし、近年では女性の社会進出が進み、女性が月経困難症で仕事を休んだり、仕事の効率が下がったりしてしまうことによる社会的な影響を経済的面などから計算できるようになり、月経困難症は社会的損失と考えられるようになりました。

2012年9月28日

漢方薬って保険がきくの?

 漢方のお話をさせていただく機会に一番多く受ける質問の一つが、「漢方薬って保険がきくのですか?」というご質問です。でも、そんな質問をされるのも無理はありません。実は漢方エキス製剤が保険適用になったのは1967年からで、現在のように148処方の漢方薬と約200種類の生薬に健康保険が適用されるようになったのは1975年以降のことなのです。その様な意味で1970年代は漢方にとって過渡期でした。では、それ以前はどうだったのか? 今回から、そんなお話をしながら、近代漢方の歴史を簡単に振り返りたいと思います。

2012年9月21日

冷え症と不妊症

 以前、不妊症を改善するには、まず体の土台をつくることが大切だというお話をしました。その土台作りをする上で注目したいのが「冷え症」です。漢方では、冷えはいろいろな病気を引き起こすと言われています。まだ病気になっていないが、将来的に病気になりやすい状態を「未病」と言います。冷えを改善することは、未病を治すことにつながると考えられています。このように、冷え症は漢方では重要な概念なのです。

2012年9月14日

美肌と漢方

 夏も終わりに近づき、はたと気がつくと、紫外線の影響でお肌の調子が良くない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。お肌を美しくしたいという願いは世界共通です。今回は、そんな願いを叶(かな)えてくれるかもしれない漢方薬についてのお話です。
 「許浚(ホ・ジュン)」という韓国の長編ドラマがあります。ご存じでしょうか? ホ・ジュンは、宣祖の時、医科を受験して内医院に入り、王室の病気治療で功を立て、1610年には、朝鮮第一の医書として名高い『東医宝鑑』を完成させた韓国の名医です。このホ・ジュンを題材にした小説を基に作られたドラマ「許浚(ホ・ジュン)」は、その波瀾(はらん)万丈なストーリーに加えて、漢方薬についても多くのお話が出てきて楽しめます。その中に、当帰(とうき)の話が出て来る回があります。国営医院の薬材倉から当帰が大量に紛失し、薬材倉の管理を任されていた医女に嫌疑がかけられました。ホ・ジュンの機転で、無実が証明されてめでたし、めでたし、となるのですが、事の真相は、国営医院の薬剤倉にあった当帰を、ある医務官がキーセン(芸妓)たちの気を引くために与えていたのです。当帰には美肌効果があるということで、キーセンたちは美しくなるために争って当帰を使っていたのです。

2012年9月7日

日本が誇る漢方医学

 先日、名古屋に帰省した際に、名古屋ボストン美術館で開催されている「日本美術の至宝」展に行ってきました(2012年12月9日まで)。アメリカのボストン美術館から日本美術のコレクションが里帰りしたのです。
 ボストン美術館は「東洋美術の殿堂」 と称され、設立された時にアーネスト・フェノロサや岡倉天心によって日本美術のコレクションが始まり、以来、収集が続けられてきました。10万点を超える日本の美術品が収蔵され、世界有数の規模と質を誇っています。その中には、日本の美術を語る上で欠かすことの出来ない優れた作品が多く含まれ、近年の調査においても多くの重要な作品が見いだされています。

2012年8月31日

忘れっぽいな…

 サザエさんの主題歌に、買物しようと街まで出かけたが財布を忘れて、というくだりがあります。愉快なサザエさん、と温かい眼差(まなざ)しの歌詞が続くのですが、実際の生活で、そんなにしょっちゅう財布などを忘れてしまうと生活に支障が出てしまいますし、マスオさんにも冷たい目で見られてしまい、夫婦げんかの原因になってしまうかもしれません。

2012年8月24日

身近な薬草と田中一村

 私が田中一村の絵を初めて見たのは奄美大島でした。その画布いっぱいに広がってくる木、海や空の迫力と鮮やかな色、深みのある影に思わず見入らずにはいられませんでした。その田中一村の展覧会が石川県立美術館で8月下旬まで開かれています。
 日本画家田中一村は、幼い頃から画才を発揮し、東京美術学校日本画科に入学しますが、経済的事情から退学、千葉市に移り住んだ後、奄美大島に移住し、画壇の表舞台に立つことなく、69歳で生涯を閉じました。一村は、自分の身近な風景や植物を描くことに情熱を傾けていました。しかし、華やかさや、典型的な構図などが求められる当時の画壇からは認められませんでした。それでもなお、自分の作風を曲げず、自分が描きたいと思う絵を描きました。生きている間には認められませんでしたが、観る者を惹(ひ)きつける絵を残しました。

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プロフィール
写真
小川恵子(おがわ けいこ)
 
愛知県名古屋市生まれ
金沢大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 和漢診療外来 特任准教授
 
詳しいプロフィールはこちら
 
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