海原純子のハート通信
2011年12月19日
アメリカの大スターがCMに出ない訳

私の後ろに写っているネコは今、ボストンやニューヨークでヒットしている映画「Puss in Boots」の主人公です。新聞にも取り上げられて批評家たちの評判も上々。とにかく痛快。映画館内で拍手が沸き起こるという作品です。
マザーグースとジャックと豆の木と様々な要素を盛り込み、弱者の味方をする「長靴を履いたネコ」のお話なのですが、興味深いのは正義の味方で街を守るネコなのに、結局は反権力で、いわゆる「お上」からは追われる身、というところです。さしずめ、ネコのロビンフッド版、という感じですね。日本の作品だったら、最後はどうなるのかしら、などとアメリカにいる友人と話し合いました。
「やっぱり最後はお上から表彰されて勲章をもらってハッピーエンドじゃないかなあ」
そんな話をしながら思い出したのが、スターとコマーシャルの関係という話です。これもアメリカ人の友人から聞いたことなのですが、アメリカ人のスターというのはコマーシャルには出演しない、というのです。
日本ですと、大企業のCMに出るのは大スターの証拠みたいに受け取られますが、アメリカ人の場合は全く逆。CMに出るのは企業側のカラーがつくし、そんなことでギャラをもらうのは俳優として稼げないから、という風に取られるとのこと。ずいぶん違うんですね。
あくまで反権力というのがクール、カッコイイというわけですが、ここで間違ってはいけないのは、権力が正義ではなくて、金権で歪(ゆが)んだ政治やもうけ主義の企業に対して戦うことが、反権力です。弱く力を持たない正義の市民を守り戦うのが、スターというわけです。
ところで、アメリカではかつてタバコはクールでカッコイイというイメージで映画の小道具にも使われてきました。
ところが、映画で使われるこうしたシーンが青少年に大きな影響を与えるということで医療従事者たちが立ち上がり、「喫煙者はタバコ巨大産業に操られる人」というイメージでキャンペーンを展開。以来、たばこのイメージが変わり、喫煙率に変化を与えたとのこと。写真のような禁煙メッセージはハーバード大学の構内に点在しています。
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- プロフィール
- 海原 純子(うみはら じゅんこ)
- 1976年東京慈恵会医科大学卒業。白鷗大学教授。医学博士。2000-2010年、ハーバード大学及びDana-Farber研究所・客員研究員。現在はハーバード大学ヘルスコミュニケーション研究室と連携をとりながら研究活動を行っている。
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