放射能(5)食品の規制値 想定ごとに変化
食品の暫定規制値は、海外に比べると、緩いのだろうか、厳しいのだろうか。
放射性セシウムを見ても、飲料水で日本は200、EU(欧州連合)は1000、ウクライナは2とばらつきがある=表=。
しかし、数値だけで比較するのは一面的だ。帝京平成大教授の杉山英男さんは「規制の数値は、
線量限度とは、自然界の放射線以外に食品からの追加被曝をどの程度まで見込むかという値。EUとウクライナは年1ミリ・シーベルト。日本は同5ミリ・シーベルトで、日本の方が緩い。
シーベルトは人の被曝影響を測る単位で、ベクレルは放射性物質の量を示す。シーベルトの線量限度を各食品に振り分け、換算したベクレルの数値で規制する。
EUとウクライナで規制値が違うのは、汚染の想定が違うため。EUは、チェルノブイリ事故翌年の1987年、緊急時に規制を行う数値として設定した。個人が消費する食品の10%が規制値相当の汚染レベルと考えている。
ウクライナの規制値が設定されたのは97年。汚染食品の割合がEU全体より高いと想定され、一つ一つの食品の数値を抑えている。主食のジャガイモと、それ以外の野菜を分け、他の食品も食べる量や食べ方に応じて細かく数値を変えている。
日本は流通する食品の半分が規制値相当の汚染レベルだと想定して計算している。この想定は、EUより厳しいとも言える。
ウクライナでは、事故直後は緊急時として、内部被曝を50ミリ・シーベルトで規制した。半減期が短い放射性物質が減り、段階的に平常時の1ミリ・シーベルトに下げてきた経緯がある。
日本でも、厚生労働省で暫定規制値の見直しが始まった。先月末に食品安全委員会が「食品からの追加の累積線量は生涯でおおよそ100ミリ・シーベルト」と答申。小宮山大臣がセシウムの限度を「年1ミリ・シーベルト」と話し、数値を下げる方向だ。
杉山さんは「食品ごとに汚染度や摂取量が違う。生活実態に根ざした規制が必要」と話している。
(2011年11月9日 読売新聞)
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