石井苗子の健康術
2011年11月4日
TPPとおじい様とおばあ様

(その国の文化と食生活と高齢社会の関係)
30年前に、あるアメリカ大使館勤めの日本人に「アメリカの魅力は何ですか」と質問したことがありました。答えは、「世界中の食料が安く手に入る」。
当時、アメリカの食べ物は驚くほど安かった。スーパーは大規模で、食料が溢れてました。彼は続けてこう言いました。「世界中がアメリカのような国になれたらいい、食料が安くて、たくさん手に入る国に」。
今、TPPという言葉が耳に入ってきます。「トランス パシフィック パートナーズシップ」の「トパパ」でTPPでしょうが、これを説明すると、「太平洋の内側にある国の仲間としての決まり事」でしょう。ところがお仲間同士の決まり事程度で済む話じゃありません。まして、農業だけの話でもなさそうです。
「環太平洋戦略的経済連携協定」。本物の英語はえらく長くて、戦略的という言葉が入ってますから、戦争のような経済計画を立てるという意味です。どこがと言えば、アメリカでしょう。経済戦争の戦略をアメリカが練っている。
仲間入りすれば、工業品、農業品の全品目の関税なし。公共事業やサービス業、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスに至るまで、これまで日本にあったルールや決まりごとは撤廃となります。完全自由化とはそういう意味です。もはや「うちは以前からこういう条件に満たないものは扱わないルールになっていますから」と言っても、他国の商売を拒否できないということです。
もし日本に必要なものは何もかも揃っていて、これまで本当は買いたくないものをお付き合いで仕方なく買ってきていたような国だったなら、「お仲間に入れていただかなくても結構です! お宅さまたちのもの、何もいりません、買わないでやってけますから」と、鎖国…です。グローバライゼーションの渦中で国を閉ざす? やってけると思ってんの? というのが賛成組の意見でしょう。
あるテレビ討論会で女性議員が言ってました。「バスに乗り遅れてはいけないかのようにおっしゃいますが、そのバスの行き先はどこなんでしょう? 日本の高齢社会はそのバスに乗れば穏やかな生活が送れるのですか? この国の今は何が一番大事なのでしょう。高齢者が多い国はどのバスに乗ればいいのですか。そこを考えてください。日本独自のバスはないんですか」と。
その通りだと思いました。
若い時、漁業交渉の通訳者として働いた経験がありましたが。くじらを漁獲してはいけないとアメリカに言われたのがキッカケで、にしん、さけ、たら、と漁獲禁止の魚種がどんどん増えていった。牛肉、オレンジ戦争と言われた時代も経験しています。
一度はしてやられたけれど、そこを乗り切って、自動車産業で一時アメリカ市場を奪い取った時期もありました。すべては戦略でした。外圧に弱いことは歴史が証明していますが、当時はグローバル時代ではなかったはず。TPPも粘るだけ粘るべきです。ギリシャの国民投票ではないですが、日本は国民に問うという事をしない国だなと思いました。商売だけを考えるなら、中国との戦略も見直した方がいいと思います。
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コメント
Strategic を戦略的を訳すのは、ちょっと変だと思いますけど。
それに、パートナーになるのだったら、日本の言い分も通す必要がありますし、どこが国際的、どこは各国別々にやるのか、は明確にしないといけないとおもいます。例えば、健康保険は各国自分でやる、生活保護はどうする、とか。
要するに、EUのアメリカ・アジア版でしょう?例えば、ヨーロッパでも、漁業権や油田の件でノルウェーは参加していません。ドイツなどは、自国に住んでいる他国民の生活保護を払うことが多いので、納税者の不満が募り、人種差別につながっています。
日本人は、世界でも稀な、好かれている国だと思います。中近東やアフリカなどでも、ヨーロッパ・アメリカは上から目線で嫌だけど(キリスト教が一番と思っている)、日本は友達、みたいな感覚です。
これをふいにするのは勿体無いです。
米国は自国の有益を確保する為、TPPを推し進めようと画策している。我が国の現首相の主流派は賛成していても、与党も足並みが揃わず、反対派の議員が多い。野党も一部を除き反対意見が多数を占めている。世論調査(某新聞で先月末日の朝刊)では、参加45%不参加32%という数値を掲載していたが、ネット世論調査(先月二十七日)では参加20.9%不参加44.4%と真逆な数値で今後、各新聞社.テレビ局も同様な調査をすることとおもわれる。もう実施しているのかも知れないが「世論」を無視して断行することはできない。なれば国民に真を問うということは解散して、でも解散は余程のことがない限りしないです。野党であった時は、事ある毎に「国民に真を問う」と公言していたのに自分達が政権を執ると手のひらを返したように沈黙し、先の党首選でも立候補した人達は誰も国民の審判を仰ぐということに言及した人はいない、「震災」という葵の印籠をだして、です。今選挙したら大敗する。 国民は視ているのです、それほど愚かではない。
先ず第一は、日本の国益を優先する、その上での議論は憚る事なく意見交換し精査して結論を導き出す。
経団連の会長は推進派と聞いています。大小含め企業.事業主は、経済の動向も含め一般紙の他に経済に係わる新聞を購読している人も少なからずいると思いますが、前述した世論調査はこの新聞社です。私は納得はしておりません。併し経団連の会長が推進しているとなれば、手を挙げた人もいたでしょう。
全体的にみるとTPPは反対意見の人が多く、否決される可能性が大であるとおもわれます。
もう日本も米国に阿るようなことなく自国の論理で行動せねば、何時までたっても「属国」で、自分達のいったことは必ず聞くものだ、と米国はおもってしまう。情けないとおもうが、そういう側面も合わせ持っているので、忸怩たるおもいです。
TPPを農業だけの問題かのように錯覚させ、「雇用拡大のためにTPP参加が必要なのに、既得権にしがみつく農協」というイメージを作り上げる報道が本当に多いですが、石井さんのおしゃるように問題はそこだけではないはずです。国民生活全体ががらっと変わってしまうはずです。ほんのちょっと前あたかも「規制緩和が正義!」と言っていた総理がいましたが、その結果、国民の暮らしはボロボロに破壊されたばかりです。今度はその比ではありません。どうしてもっと本当のことを国民に知らせないのでしょう。
今までのルールを進化させることが可能な条約ではなさそうです。
工業製品も円高をカイゼンしなければTPPに加盟してもダメだと思います。
医療、農業は崩壊する可能性があります。
特に医療保険制度は、公的保険ではなく民間保険または自由診療ばかりになり高齢者、経済弱者は今のように病院に行けなくなる?
農業は心配されるほど弱くはないと思いますが、牛肉・乳製品・小麦などは日本で生産されなくなり、食料自給率は10~15%程度となのでは。
円高解消をできない民主党政権に日本を守れる力があるとは思えません。自民党も?ですが。
日本的な社会構造(比較的格差の少ない社会)を維持し、貿易で利益の出る為替水準まで、政治主導で介入し続けて円高の解消をしてもらいたいと思います。
石井苗子様
全くの同感です。日頃、震災復興に奮闘しておられる様子をブログで拝見し、地に足がついたご意見に関心しておりました。今回も実に的を得たご指摘で、うれしくなりました。日本の未来は地域の発展とつながるべきで、震災復興はその象徴のような気がしています。たかだか数カ国で自由貿易なんておかしな話で中国や東南アジアの国のいくつかが抜け落ちています。なにかおかしいと感じませんか。本来、WTOなどの世界的機関が協議し共通のルールで互恵的な自由貿易をつくるのが筋なのに、経済的囲い込みを進めているように思えます。いま、オバマ大統領は再選に向けて自国の経済を刺激するのに懸命で、最近のナショナリズムな調子の演説を聞くと、当選した頃の彼との落差にがっかりです。TPPのような閉鎖的?なものではなく、地域の復興がグローバルな社会への実現になるためには日本人はもっと世界の地域とつながらないといけません。これだけインターネットやスマホが普及しているのですから自動翻訳での会話やメールが自由にできるようにしたらその波及効果は絶大でしょう。震災を契機に私の個人的な付き合いで強く実感したのは、日本は世界中の人から好かれている国だということでした。なぜ好かれているのか一人ひとりよく考えれば自ずと日本のはたす役割も見えてくると思います。そのとき自由に交流できる互恵的な社会が実現すれば高齢者にとってきっとやさしいはず。