笑顔まるまる アニマルセラピー
2011年3月5日
壊さないように犬を触った

アニマルセラピー(CAPP)活動の現場ではいつも利用者の方の「普段では見られない笑顔」がいっぱいです。そして、笑顔以外の変化に出会うこともよくあります。
ある重症心身障害者施設でのことです。知的障害と身体的障害が重複していて生活全般に介助が必要な方が多い施設で、私たちの活動中も、参加者にはほとんどマンツーマンで介助者がつきます。
その介助者の方が気づいたのですが、重い障害で手の力加減の調節が難しく、握ったものを壊してしまう方が、犬をとてもやさしく触れていたというのです。もしも毛をぎゅっとつかんだら犬もびっくりしてしまうので、介助者の方は注意して見ていたそうですが、「かわいいワンちゃんには、自然にやさしい動きが出るんですね」と話していました。
その方は言葉でのコミュニケーションも難しいという方でした。でも、そっと頭や背中を触れた指先に、その方のやさしい心が表れていたのかもしれません。
◇
また別の現場でのことです。やはり重い心身障害で、鼻から下が動かず、顔の上半分、ほとんど目しか動かないと思われていた方のことです。アニマルセラピーの活動中に、もう上がらないと思われていた口角が上がったというのです。
きっと笑顔を見せてくれようとしたに違いありません。こんなにうれしいことはありません。
その様子を見た看護担当の方は、「もう一度、口角があがるような介護を」という目標を掲げて、がんばっていらっしゃると話していました。
◇
次は、何度も訪問した病院でのことです。いつも、私のパートナーであるラブラドールレトリバーのジーナをうれしそうになでますが、お話はまったくしない男性がいらっしゃいました。でもある日、私が「名前はジーナといいます」と言うと、「ジーナ」と一言だけ呼びかけてくださいました。
看護師さんからは「脳梗塞の後遺症で言葉が出にくい方なんです」と聞きました。
後年、私の父が同じ後遺症になり、「言葉が出にくい」という状態が、想像以上につらいことだとわかりました。そんな後遺症があっても「ジーナ」と呼んでくださったことは私の大切な思い出となっています。
◇
こんなふうに利用者の方の「潜在力」を引き出す動物たち。これからも一緒に楽しい活動を続けたいと思っています。
湯本悦子 東京都多摩市在住。主婦。日本動物病院福祉協会CAPP委員。現在は、都内の島田療育センター、府中療育センターの活動でチームリーダーを務める。
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- 1978年に日本動物病院協会として創立。人と動物の共生社会の実現に向けて、動物病院と動物医療の充実のための教育事業、社会貢献活動などを行っている。ボランティアによるアニマルセラピー活動を全国の福祉施設、病院、学校などで展開。事務局は東京都新宿区
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コメント
ジーナちゃん始めセラピー犬は、この人を治すぞなんて思ってないだろうし、患者さんも、医療関係者やご家族やご本人の努力で、精一杯の改善を目指していらっしゃるでしょう。それでも、なかなか回復できないことが、ふっとできてしまうことがあるなんて。
リハビリのお手伝いとか、心の癒しとか、もっとっもっとそれを超えたみたいな形で、奇跡みたいな事例があることに驚きました。とは言え、何も無いところからは起きないわけで、「潜在力を引き出す」という言葉に、はっとしました。無性に可愛いワンちゃんだ、可愛がりたいなと思い、触れ合おうとしたことで、できちゃったんですものね。感動してしまいます。
犬の持つ力はすごい。人の持つ力もすごい。
日常の平凡な日々も、私たちは、動物たちに知らず知らず助けられているのでしょうね。
たくさんの笑顔を生む活動に、感動しました。
私は定年1年前に野生動物の保護・救護を目的としたグループ(現 NPO法人「野生動物救護の会」)に参加して傷ついたり病気になったりした(傷病鳥獣)に餌を配る・水替えなどが主な作業である会でボランティアとして活動している。
そろそろ後期高齢者になる男です。
私は野鳥が大好きで入会したが鳥と哺乳類(タヌキ・ハクビシン・ムササビ・アナグマ)などと接していると(特に鳥ならば翼を・哺乳類ならば4肢のどれかを失った)動物達は我々ボランティアが実質面倒をみているが、我々には飼養する資格が与えられているので、私は左の翼を失った「ツグミ」と言う渡り鳥を1羽預かって満6年になる。
ニックネームに付けた「つぐみ」はここからきている。週に1度行くだけの我々ボランティアを覚えていてくれて、話しかけてくる感じを受ける鳥獣達に接するのを楽しみに(車で往復45km離れた)厚木市七沢、大山の麓まで通い続けている。
昨年これらが認められて県から「功労者表彰」を受賞した。我々ボランティア仲間で私は最長老になるが動物に接することは人にとって癒しになることは確かだと思う。