有料会員限定 不眠・過眠のお悩み

講演(5) 過眠の裏に不眠がある

夜、眠れないから…

 過眠は不眠の裏返しです。結局、夜の質のいい睡眠が取れてなければ、昼間に眠気がやってくるわけです。

 人生の三分の一は寝ているわけです。そうすると、どっかで帳尻合わせをしなきゃいけない。そのために反映されるのが昼間の眠気です。

 例えば今日、だいたいどこの企業も平気で夜9時、10時ぐらいまで働いていると思います。そうすると寝る時間は3、4時間しかとれないことが1か月以上続きます。これはもう物理的に睡眠を取れない状態で、不眠症以前の問題として改善すべきです。人事に相談して改善を求めて睡眠を確保する。ちゃんと早く帰らせて、残業制限する。

 ただ、それで家に帰って寝ようと思っても、多くの方は眠れない状況が続いてしまい、不眠症になります。それで治療が始まります。

 極端な例で、今ここがアフガンだとします。いつ爆弾が落ちてくるかわかりません。たぶん全員不眠症になるでしょうね。夜に眠れなくて、せいぜい3、4時間、明け方くらいに寝て、また起きてしまう。一回起きてご飯食べて、またしばらくすると昼間になって眠くなってきます。そういった不眠の裏返しが過眠です。

 それに対する生理的な過眠症についてのお薬は残念ながらありません。

体も脳も休ませてバランスを

 いわゆる脳っていうのは、寝ないと働かないわけです。

 たとえば自律神経。自律神経っていうのは交感神経、副交感神経、プラスとマイナスで考えてください。心臓がドキドキ早くなるのは、交感神経が優位になっているとき。その後は心臓をゆっくり休ませなくてはいけない。日中は脈拍で100とか、寝ているときは60、70とか、調節しているのは自律神経系なのです。そのへんが、睡眠がごちゃごちゃになってくると、プラスとマイナスのアンバランスになります。

 できれば朝は自然に起きて、夜も自然に眠るのが人間を生命体として捉えたら場合には一番自然なんです。夜勤の仕事、いろんな事情で昼夜逆転しなきゃいけないけれど、どこかで修正していかないと、やはり体、心臓とかいろんな余病を引き起こす問題になってきます。

 会議とかセミナー、大ホール500人くらい2時間くらいの講演の中では、間にどっかでいびきが聞こえてきます。映画館でもそうでしょ、みんな集中しているのに、どっかでいびきが聞こえてくる。その人はつまんなくて寝ているならいいけど、もしかするとどっか睡眠不足になっていて静かな環境になったら急に眠くなって、せっかくお金払って行ったのに、ってことになる。皆さんの中でもそういう経験はあるかもしれません。

講師 河村哲・風メンタルクリニック池袋院長
順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。医学博士・精神科医専門医・精神保健指定医。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学留学後、順天堂大医学部精神医学教室講師、外来医長、病棟医長・医局長等を経て現職。企業における心の健康、老年期認知症疾患、更年期の精神疾患、睡眠障害など精神医療全般にわたって活動している。風メンタルクリニック池袋のホームページはこちら

2010年12月7日 読売新聞)

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