がんと私 本田麻由美記者ブログ
2010年11月5日
夏油温泉にて (5) ~ 「希望」 と 「覚悟」 ~

普通の生活がいかにありがたいか――。
岩手県北上市の下瀬川典子さんが、同市内のがん患者会が開催した「夏油温泉健康塾」で語ったその言葉は、私自身も乳がん闘病の中で痛感していることだ。
私の乳がんは、このブログでも何度か書いたが、相変わらずヤキモキさせてくれる。
現在、ホルモン剤の服用のみで治療を特に変えてはいないが、腫瘍マーカーは基準上限値の5~6倍に跳ね上がったり、基準値付近に下がったりと、悩ましい動きを繰り返す。
今年5月末に病歴8年にして初めて受けたPET検査では、胸部リンパ節に「初期転移の可能性も」と指摘される箇所が見つかり、当初は「今すぐにでも手術生検して、シロかクロか確認したい」と切羽詰まった。
ただ、超音波検査では特定できず、「少し様子を見ましょう」との主治医の言葉に“じれったさ”を感じつつも従った。「秋口にも再検査をして、手術でも何でも先手を打って対応するぞ!」と意気込みつつ、時機を待つ意味での小休止のつもりだった。
それが、もう11月。あれほど意気込んだ割には、PET再検査は、実はこれからだ。というのも、8月後半から10月いっぱい本当に忙しかった。この2か月で、取材や講演、シンポジウム参加等の泊まり出張は計7回。その中には、欧州臨床腫瘍学会の取材でイタリア・ミラノに行ったり、つい先日は京都で開かれた日本癌治療学会の取材と発表などで走り回ったり。土日も何もなく、本当にヘトヘトになるほど動き回っていた。
でも、これが楽しいのだ。(それなりに)元気に活動できることで、自分ががん患者であることを忘れていられる。「転移の可能性…」なんて言葉も、どこか他人のことのように感じる日々だった。物理的に時間がないから、診察にだって行けない。懸案のPET検査も、一度予約を取っていたが、のどを腫らして熱が出たのでキャンセルしていた。がんからも、日々の診療・検査からも解放されたかのようで、忙しくてものびのび感じられた。
それもあって、ついつい、「このまま生死の心配などすることなく、同僚らのように普通に仕事や自分の生活に打ちこめたら……このままなかったことになれば……」などと、結構、本気で思っていた。検査なんか忘れちゃえばいいや――なんて。
しかし、そうもいかない。前の検査から半年たったし、そろそろ各種検査や診察の予約を取らねば――と思っているところに、ある“覚悟”みたいなものが芽生えている自分に気づく出来事があった。(次回に続く)
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- 本田麻由美
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- 社会保障部記者
- 2002年5月に乳がん診断
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