がんと私 本田麻由美記者ブログ
2010年10月27日
夏油温泉にて (1)

先月末、岩手県の「夏油温泉」に行ってきた。
JR北上駅前(同県北上市)から車で40~50分。途中からクネクネした山道に入り、その行き止まり、栗駒国定公園に指定されている豊かな山々に囲まれた地に、その温泉はある。まさに“秘湯”と呼ぶにふさわしい雰囲気だ。
「夏油」(げとう)という名前は、アイヌ語の「グット・オ」(崖のある所)から来ており、冬季は豪雪で閉ざされてしまうことから「夏湯」となり、さらに夏場の太陽に照らされてお湯がギラギラと油のように見えたことから「夏油」と表記されるようになったと伝えられているそうだ。
夏油温泉行きの目的は、3つあった。
1つは、知人で乳がん経験者の高橋みよ子さんが代表を務める北上市がん患者・家族の会「びわの会」が、同温泉旅館「昭和館」で2泊3日の「夏油温泉健康塾」を開くというので、その企画に参加するためだ。「健康塾って、何するの?」という私の問いに、彼女たちは“現代版湯治”を模索するというので、興味津々だった。
もちろん、せっかく行くのだから仕事ばっかりじゃ……ね!?ということで、秘湯の「お湯」につかって私自身も元気をもらいたいという魂胆もあった。実は、これが最優先事項かもしれない。
そしてもう1つは、同会のメンバーでもあり、健康塾の会場である温泉宿「昭和館」で帳場から客室までテキパキと切り盛りする下瀬川典子さん(50)に会うためだ。
下瀬川さんとは、昨夏、北上市のがんに関する講演会に呼ばれた際に、地元の患者会の皆さんがお食事会を企画してくれたのがきっかけで出会った。5~6人の患者さんや経験者が闘病体験を話してくれ、その中に“死の淵から生還した”ともいえる彼女の体験談があった。その話は衝撃的で、様々な苦労にも前を向いて歩いてきた彼女の人間性に魅かれ、1人の後輩患者としてもっと話を聞きたいと思っていたのだ。(次回に続く)
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