がんと私 本田麻由美記者ブログ
2010年9月28日
正しい治療ってなに? (中)

この一か月も、灰色のままの“乳がんの転移再発疑惑”が心の奥にひっかかり、すっきり晴れることはありませんでした。
急上昇した腫瘍マーカーは、一度は正常値との境界付近まで下がったのですが、また5-6倍に急上昇!!こんな乱高下する状況に、「これは当てにならない!心配するだけ損だ」と思うようにしようとは心がけています。主治医もそう言います。けれど、何か爆弾をずっと抱えているような気持ちで落ち着きません。
こんな精神状態に身体的な疲労が加わったせいか、1週間ほど前、朝起きたら突然両目のまぶたが「お岩さん」のように腫れあがっていました。赤く、むくんでいるような感じで、目全体に少し痛みがあり……初めての経験に、「頭頸部に転移してリンパの流れを止めてしまったのか?」と、不安が走りました。結局、頭と肩・首のマッサージと睡眠で、3日ほどしてもとに戻りましたが、いったい何だったのでしょう?
とにかく、「次のPET検査までは、(悪いことは)考えないように考えないように……」と、おまじないのように日々つぶやいて過ごしています。そのせいで、「自分のがん」を考えなければならない「このブログ」を書くことを、深層心理で避けるようにしていたのかもしれないな――と自己分析しています(言い訳なんですが…笑)。
ただ、次のPET検査でも、前回同様に微妙な結果だった場合、また経過観察でいいのだろうか?もしくは、再発転移の可能性が高いとの結果だった場合、その病巣を手術して取り除くことに意味はないのだろうか?
これが最近の悩みどころになっていました。
前回のPET検査では、鎖骨下の奥の方の大胸筋下リンパ節が1センチ以下の大きさですが、薄く色づいて反応していました。これは転移なのか、単なる炎症によるものなのか。超音波検査では判断がつかず、経過観察になっています。
乳がんは一般に、転移巣が見つかったら既に全身に癌細胞が広がっている可能性が高く、そこだけ切除しても意味がないと言われます(ただし、脇の下のリンパ節転移などそこで食い止められる可能性がある場合は別)。
しかし、素人考えでは、私の乳がんは大変ゆっくり進行するタイプなので、胸部リンパ節だけなら切除することで“時間稼ぎ”ができるのではないか?あわよくば周辺を一緒に切除することで、全身転移を食い止めることにつながらないか?―― などと考えてしまいます。もちろん、手術には後遺症を伴う可能性もあるので悩ましいんですけど。
そんな私の悩みに、一つの答えを出してくれる考え方を、先月7日に横浜市で開かれた「かながわ乳がん市民フォーラム」で得ることができました。
このフォーラムは、神奈川県内の乳がん治療に携わる医療関係者と患者さんたちが毎年一緒にテーマを決めて行っているもので、今年は9回目。第1部に治療や闘病生活に関する教育講演、第2部に患者や医療者に事前に答えてもらったアンケート結果をもとにしたパネルディスカッションを行い、私は神奈川県立がんセンター乳腺甲状腺科部長の清水哲医師のアシスタントとして、第6回からパネルの司会をさせていただいています。
今年のテーマは「正しい治療ってなに?」――。第1部で、横浜労災病院腫瘍内科部長の有岡仁医師から「乳がん治療の最近の話題」に関する講演がありました。
その中で、今年7月に承認された新たな抗がん剤「アブラキサン」や、日本でも審査中の新抗がん剤「エリブリン」について、臨床試験で得られた結果が紹介され、今後の乳がん治療での薬の選択がどうなっていくかなどの考え方について解説がありました。この数年で次々に効果が期待できる新薬が出てきていること、さらに研究が進んでいることを聞くと、まだ再発が確定した訳ではないけれど、やはり患者の1人として勇気と希望が湧いてくるのを実感しました。
そうした薬物治療の話題に続いて紹介されたのが、まさに今、私が悩んでいる問題点「再発巣の生検や切除は有用か?」についてでした。(次回に続く)
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- プロフィール
- 本田麻由美
- ほんだまゆみ
- 読売新聞
- 社会保障部記者
- 2002年5月に乳がん診断
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