Dr.PANDAの糖尿病こころのケア
2010年5月14日
ひとは空を飛べない(4) 糖尿病は「怖いイメージ」

実際の日常臨床では、糖尿病に関して新しい情報を伝える機会は十分にはありません。仮に伝えられたとしても、それを正しく認識していただけるかは全く別の問題です。そして、一度、患者さんの中でイメージが形成されてしまうと、それを変えていくことは大変に困難な作業となります。
小島さんとの会話の中でも、小島さんの中の誤った認識や古い情報による「糖尿病の神話:糖尿病に対する極端なイメージ」を垣間見ることができました。後日、小島さんにあらためてうかがってみました。
◇
小島さんの話:糖尿病には怖いイメージがあります。テレビとかで見たことがあります。一度なると、なかなか治らないっていうのをテレビで見たから、そういう意識があるのかもしれません。自分でも、焦り過ぎだと思っています。本当に、『しつこいなぁ、この病気は!』とも思います。
この病気になる前にもっと気をつければ良かった・・・。今になって、これはだめ、あれはだめって嫌になってしまいます。何かに追われているような感じもします。まるで糖尿病と闘っている感じ。元々、甘いものが好きなのに、今はコーヒーとかもブラックで飲んでいるんです。おいしくない。楽しくない。自分が好きな甘さで飲みたい。そういうのが幸せ。
でも、楽しくないけど、気をつけないと倒れちゃうって思う。そんなイメージです。
◇
小島さんは、テレビで糖尿病に関する情報を得ていらっしゃいました。しかし、それは極端に糖尿病の怖さだけを強調したり、目をそらしたくなるような情報の伝え方であったようです。元々、まじめな性格の小島さんは、糖尿病の合併症を予防するために模範的な患者になろうと必死に努力しました。
しかし、誰も完璧に食事や運動の管理を行うことなどできません。やはり、失敗と反省の繰り返しになりました。自分で自分を責めるだけでなく、周囲の人々や担当医からおこられ、それを繰り返すうちに無力感を感じるようになりました。そして、とうとう糖尿病治療に「うんざり」してしまったのです。「燃え尽き(バーンアウト)」の状態です。
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- プロフィール
- 中野 智紀(なかの・ともき)
- 日本糖尿病学会認定専門医
- 1976年埼玉県越谷市生まれ
- 獨協医科大学卒業
- 特技:剣道三段
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