医療部発

2010年4月30日

エキス剤とせんじ薬、どっちが効くの?

 前回に引き続き、質問に答えます。

 質問4 エキス製剤とせんじ薬。どちらが効きますか?

 エキス製剤は、生薬を煮出した液を加熱・濾過(ろか)して粉末状にしたものです。対して、せんじ薬は、生薬を煮出して服用します。薬局で購入したモノを自分で煮出す必要があります。1日1回、1日分をせんじますが、毎回40分くらい時間がかかります。

 

 効果については、東京・港区の青山稲木クリニック院長、稲木一元(日本東洋医学会漢方専門医・指導医)さんに聞きました。

 「コーヒーに例えると分かりやすいと思います。生薬はコーヒー豆と同じで、管理・保存が大切。管理状態が悪いと、味や成分が思ったように出ません。そういう点からいうと、せんじ薬は漢方を専門に取り扱っている薬局で購入するほうが安心でしょう。生薬はまた、産地や生産された年によって有効成分の含有量が変動し、値段も大きく変化します。

 一方のエキス製剤は、最高級の高価な生薬を使ったせんじ薬に比べれば確かに効力はいくらか劣りますが、一定以上の水準を保てるように品質管理がされています。インスタントコーヒーでも、管理の悪いコーヒー豆でいれたコーヒーよりはおいしいという感じです。

 せんじ薬もエキス製剤も、目的によって使い分けています。大部分の患者さんの症状や病気には、まずエキス製剤で効果があるかをみます。せんじ薬にしかない漢方処方を使う必要のある場合や、既成のエキス製剤で十分な効果がなく、その患者さんの状態にあわせてオーダーメードのように調節する必要のある場合などにはせんじ薬にします。通常はエキス製剤で十分だろうと思います。

 エキス剤かせんじ薬か疑問がある患者さんは、診てもらっている医師の先生に聞いてみてください」


 質問5 現在の漢方は和洋折衷的な診療になっているのでしょうか?

 これは私(渡辺)の疑問です。どうも漢方医というと、特別な診療をしているようなイメージがありました。稲木さんに聞きました。

 「そうですね。私の専門は内科ですが、実際問題として、たとえば高血圧症、高脂血症、糖尿病の治療は漢方ではなかなかうまく行きません。これらの生活習慣病の管理には、通常の血圧やコレステロールや血糖を下げる薬を処方しています。

 また、漢方の治療を求めて来られた患者さんに対しても、現代医学的な治療を優先しなければならない病気の有無を見極める必要があります。

 大病院でCTを撮ったけれど原因が分からないという頭痛の患者さんが漢方治療を希望して来院されたことがありました。ところが血液検査をしたところ、この患者さんは白血病だったのです。和洋折衷というよりも、医師としてやるべきことをやり、西洋医学ではなかなかいい治療効果が得られない患者さんには、治療手段の一つとして漢方を処方するという形になっています」

 漢方というと私のなかに古くさいイメージがありましたが、エキス剤の使い方といい、検査法といい、すっかり、現代医療の一部になっているのですね。

 
 

 

渡辺理雄 2008年12月から医療情報部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。今年の目標は、セ・リーグV4(ジャイアンツ)。

コメント

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
 編集方針はこちら

コメント投稿

(必須)
※20字以内
    
(必須)
※20字以内
    
(必須)
※800字以内

    

<編集方針>

 投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。
 コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。
 次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • 当ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

 以上、あらかじめ、ご了承ください。

プロフィール
写真
読売新聞東京本社編集局
医療部
1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。
最新エントリ
最新コメント
カレンダー
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
バックナンバー
本文ここまで
このサイトの使い方

ニュースなどはどなたでもご覧になれますが、医療大全や病院の実力、マークのついたコーナーは有料会員対象です。

読売デジタルサービス

読売新聞では、ヨミドクターに加え、様々なデジタルサービスを用意しています。ご利用には読売IDが必要です。

頼れる病院検索

地域や診療科目、病名など気になる言葉で検索。あなたの街の頼れる病院や関連情報の特集を調べられます。

プレゼント&アンケート


「健康診断・人間ドック直前対策マニュアル」5名様にプレゼント。


YOMIURI ONLINE新着情報
yomiDr.記事アーカイブ

過去のコラムやブログなどの記事が一覧できます。

読売新聞からのお知らせ

イベントや読売新聞の本の情報などをご紹介します。

子育て応援団
ヨミドクター Facebook
お役立ちリンク集

すぐに使えるリンクを集めました。医療、健康、シニアの各ジャンルに分けて紹介しています。

発言小町「心や体の悩み」

人気の女性向け掲示板「発言小町」の中で、心や体の悩みなど健康について語り合うコーナー。話題のトピは?


 ・生理前のイライラについて

 ・食欲が落ちない中年女性(悲)

薬の検索Powered by QLifeお薬検索

お薬の製品名やメーカー名、疾患名、薬剤自体に記載されている記号等から探す事が出来ます。
⇒検索のヒント

yomiDr.法人サービスのご案内

企業や病院内でも「yomiDr.(ヨミドクター)」をご利用いただけます。

yomiDr.広告ガイド

患者さんから医療従事者、介護施設関係者まで情報を発信する「yomiDr.」に広告を出稿しませんか。

PR
共通コンテンツここまで