医療部発
2009年11月12日
不妊治療のストレス

「昨年、私も腹腔鏡の手術をしたのでペンをとりました」
11月5日付けの医療ルネサンス・子宮内膜症の記事「不妊には腹腔鏡手術」を読まれた27歳の主婦からそんな書き出しのお手紙が届きました。
主婦は、今春、一度妊娠しましたが流産、今は月数回、不妊治療のため通院しているそうです。子宮内膜症による不妊を改善するための腹腔鏡手術からもうすぐ1年。子宮内膜症の再発が心配だということでした。
「先日、主人の弟夫婦に二人目の子供がうまれました。周りの幸せそうな親子連れをみるとうらやましく涙が出てきます」
私の場合、ちょっと事情は違いますが、かつて流産を繰返したとき、親子連れをみると、同じように涙が出てしまいました。だから、ファミリーレストランとか公園とか親子連れが集まる場所は、極力避けていました。エレベーターで一緒になると、ずっと下を向いていました。
仕事で、NICU(新生児の集中治療室)に入ったり、妊婦さんに話を聞いたりした時も涙があふれ、中座したこともありました。
そんな自分のことを「何て心が狭いのだろう」とか「弱くて情けない」と責めもしました。つらいですよね。
「不妊治療は心身ともに大変なストレスがかかります。病院ではあまりメンタルケアを行ってくれません。誰にも相談できません。孫の顔を心待ちにしている両親には申し訳ない気持ちでいっぱいです。今はつらいですが、私にできることは病院に行って治療することだけです」
最後まで一糸乱れぬ美しい文字で綴られていました。こんなにも思いつめていることを周囲は気づいているでしょうか?とても心配です。
最近では自治体が不妊治療対策事業として電話やメール、対面での相談を行うことも増えているようです。
誰かに話を聞いてもらうだけで、「そのままのあなたで良い」と受け入れてもらうだけで、少しは心がラクになると思うのです。
連載のたびに、読者の方から様々な反響が寄せられます。すべてをご紹介することはできませんが、このお手紙に綴られた気持ちは、是非多くの人に知ってもらいたいな、と思ってブログで紹介しました。
中島久美子 2003年から医療情報部。乳がんや更年期など女性医療を中心に取材してきた。1歳児の育児に奮戦中。鉄道ファン。
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- プロフィール
- 読売新聞東京本社編集局
- 医療部
- 1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。
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コメント
結婚後10数年子供に恵まれなかった。その間流産を4回。婚家からは養子を勧められ、義父母に会うのがつらかった。不妊治療を数年続け、一人だけれど子供を授かった。現在別の分野の相談員をしているが、弱者を思う心は、つらかった不妊治療時代に育てられたのだと思っている。