医療情報部発

日夜、病気や患者、病院、医師にかかわる情報と格闘し続ける医療情報部記者が、連載記事の反響や紙面に書ききれなかった思いなどをつづっていきます。

2010年2月8日

人工関節でもスポーツできる? 新着

 こんにちは。1月28日~2月3日の医療ルネサンス「人工関節と付き合う」を担当した高橋です。おかげさまで反響のお便りもいただきました。本日は記事に書ききれなかったことを多少補足出来ればと思っています。

 さて、連載1回目で脱臼を取り上げたところ、変形性股関節症と診断されたという近畿地方の50歳代女性から「将来人工関節になったら、やっぱりスポーツはできないのでしょうか」とのお便りが寄せられました。ボウリングとゴルフが生きがいだが、人工関節になって行動が制限されたという知人を見て心配になった、とのことでした。

 これについて、東邦大医療センター大森病院教授の勝呂徹さんにお尋ねすると、「スポーツが可能かどうかは、手術前の関節の柔軟性などが大きく影響しますが、筋肉や骨の状態が安定している人は、むしろ適度に運動した方がよいでしょう」とのお答えでした。

 人工関節になっても、ゴルフや水泳、サイクリングなどは基本的に問題ないそうです。ダンスやスキーをする人も結構いるとか。

 人工股関節の場合、ボウリングは、投球動作(フォロースルーも含む)で、股関節を曲げすぎたり、のばしきってひねったりする動作を避ければ、十分可能との見解でした。

 股関節が、どういう角度になったときに脱臼しやすいかは、手術時の人工関節の設置角度や元々の立ち姿勢などによって微妙に個人差があるといいます。自分がやりたいスポーツの動作や姿勢に、脱臼などの危険があるかどうか、あらかじめ主治医にも相談しておいた方がよいかもしれません。

 なお、関節に衝撃が加わるスポーツは、人工関節の劣化を早める可能性があります。

 「1時間以上ウオーキングできる方の場合、趣味レベルなら多くのスポーツはできると思いますが、転ぶと人工関節周辺を骨折しやすいということも考えると、走る運動は避けた方が無難とはいえます」(勝呂さん)とのこと。特に、他人と接触プレーのある競技は自分で体勢をコントロールできなくなることがあるだけに、危険はあるでしょう。

 とはいえ、現実には、人工股関節になった後、フルマラソンを完走した人もいるそうです。人工ひざ関節でゴルフのシングルプレーヤーもいるとか。「可能な運動は、ご本人の元々の身体能力にもよるので、人工関節だからといって一律に制限するのではなく、出来ることは少しずつ試してもよいと思います」とも、勝呂さんは言います。

 冒頭のお便りの女性は、股関節周りの筋肉を鍛えるため、水中ウオーキング、家ではエアロバイクをしているそうです。こうした運動は、関節にかかる負担を減らし、変形の進行を防ぐ効果も期待できると思います。

 人工関節になっても、ならなくても、なるべく適度に体を動かし、活動的な生活を維持したいものですね。

 
 

 

高橋圭史 2005年から医療情報部。がん放射線治療、腰痛・ひざ痛、こころの病気などを担当。主な取得資格は、プロボクサーライセンス(過去)、剣道二段。

2010年2月5日

ベテラン専門医が開業して初めて気づいたこと 新着

 日本医大リウマチ科の元教授(今は名誉教授)の吉野槇一さんは、5年前に定年退官した後、都内の自宅横に「吉野記念クリニック」を開業しました。

 教授時代から時々取材させていただいていたのですが、驚いたのは患者さんとの関係でした。医師に「どなたか患者さんを取材させて下さい」とお願いすると、多くの場合は「こちらから患者さんにお願いしておきますので、了承が得られたら後日連絡します」と仲介の労をとっていただけるのですが、吉野さんの場合は、「いいよ。じゃあ、今から病棟に行こう!」と病棟に連れていってくれると、次から次へと快く患者さんが体験談を話してくれるのです。昔のことではありますが、日ごろの医師・患者関係を垣間見たような気がしていました。

 退官後は病院の院長のクチもあったと聞きますが、「診療がしたいから」と開業されました。先日、久しぶりにお目にかかったのですが、いきなり「館林さん、開業医は難しいねぇ」と言うのです。話を聞くと、「大学病院にいれば、症状が出そろった患者さんを診るわけだから、診断をつけやすいけど、開業していると症状が出そろう前に診ないといけないから」ということでした。

 お目にかかった直前に診たという患者さんは、ひざの痛みがあって受診されたそうです。話を聞くと、口内炎もあって痛むとのこと。診察の様子から免疫の異常で起きる膠原病の一種「全身性エリテマトーデス(SLE)」か「ベーチェット病」という病気の初期症状ではないかと考えたそうです。どちらも口内炎ができるのですが、SLEの口内炎は痛みがなく、ベーチェット病は痛みがある。血液検査をして、調べたところ、どうもSLEではないらしい。「ベーチェット病の疑い」ということで、この病気の患者を多く診る大学病院に紹介状を書いたそうです。

 この2つの病気は、口内炎や関節痛だけでなく、全身に多彩な症状が出るのですが、大学病院時代に診た患者さんは、ほとんどがいろいろな症状が既に出た人ばかり。ところが開業していると「症状が出そろう前に患者さんがみえる。症状の裏に隠された病気を考え、においで判断する能力が要求される」と吉野さんは言います。

 「でも、元大学教授の先生だから適切なところに紹介できるんですよね?大学の派閥とかないんですか?」と聞くと、「学会に出て発表を聞いていれば、だいたいの得意分野はわかるよ。それに今はどの病院も紹介していやがるところはないですよ」とのこと。まったく知らない病院でも一回紹介すると後日、診療所に病院の案内状とかパンフレットが届くそうです。

 とは言っても、「元大学の先生だから・・」という気持ちは抜けなかったのですが、「なるほど」と思う気持ちも強く、ここでご紹介することにしました。皆さんはどう思われますか?

 
 

 

館林牧子 2004年から医療情報部。子供や女性の病気を主に担当。4歳の双子の母。趣味は食べること。

2010年2月4日

皮膚科って・・の続き 新着

 子どものころからアトピー性皮膚炎でしたが、このところ何年も皮膚科に行きませんでした。今回、かゆみの取材をするので、久々に皮膚科に行ってみました。(ひどい時には市販のステロイド軟こうは塗っていました)。

 大人になってからは顔がひどく、両ほおに赤い炎症があり、炎症が続くので黒ずんでもいます。そして、いつもちりちりと不快な刺激感があり、常に顔を手で触っています。

 出された薬は、免疫抑制効果のある塗り薬「タクロリムス(商品名プロトピック)」でした。

 以前も使ったことがあり、普通のステロイド軟こうと同様に、特に効いた感じもなかったので、「どうせ効かないだろう」と思いつつ塗りました。すると、しばらくして、ものすごくかゆくなり、不安になりました。(前回は特にかゆみは出ませんでした)。「どうせ」と思っているので、いつもなら、ここで薬を使うことも、診療所に行くこともやめますが、今回は、「かゆくて塗れませんでした」と報告に行きました。「ステロイドを塗って炎症を抑えてからもう一度挑戦してみましょう」と言われました。仕事でその手の本を読んでいて、同じことが書いてあったので、指示通りにしてみました。

 すると、かゆくなくなり、皮膚の状態も良くなりました。

 一時的なものなのかもしれません。でも、人生の中で一番かゆみに悩むことが少ない(完全に消えたわけではないのですが)のは事実です。しばらくはまじめに皮膚科に通おうと考えています。

炎症の状態に注意

 今回の連載のアトピー性皮膚炎の回で取材した2人の医師は、まず短期間ステロイドなどを塗ってきっちり炎症を抑え、保湿で良い状態を維持するという考えでした。「メリハリ」が大事だということです。(だらだらと塗らず、メリハリさえきちんとすれば、全身の重大な副作用はないということでした)。これに照らし合わせると私は、十分な強さと量の薬を塗っておらず、炎症が十分抑えられないまま、経過していたと思います。「炎症が治まっているか」を考えながら自分の皮膚を見るようになりました。

 医師の間では多数派(標準的な?)の考え方ですが、記事には「ステロイドを使っても良くならない」というご意見をいただきました。私はその意見に共感できます。自分自身、長い間、そう感じていたものですから。また、「ステロイドを使わなくても良くしてくれる医師がいるので、取り上げて欲しい」「ステロイドを使わないで治す方法を紹介して欲しい」というご意見も何通かいただきました。

 私は「ステロイド派」でも「非ステロイド派」でもないのですが、要は皮膚の炎症が抑えられた状態を維持することが大切なのだと思うようになっています。外用薬を適切に塗ることは有効な手段の1つで、そうでない手段もあるのかもしれません。高額な商品を売りつける「アトピービジネス」は怪しいですけど。

皮膚科の薬は、塗る量や塗り方、タイミングも大事

 そこで、話は昨日の冒頭に戻るのですが、皮膚科って薬を出されて塗るだけだと、大半の人はそれでいいのかもしれないのですが、やっかいなケースだと難しいなぁと思うんです。この薬をどうして、どのように、いつまで塗るのか、塗る本人が理解しないといけないなぁと。薬を塗るって簡単に考えがちですが、錠剤を飲むほどには簡単に行かない。その時々に合った薬の選択も難しいように思いました。

 
 

 

館林牧子 2004年から医療情報部。子供や女性の病気を主に担当。4歳の双子の母。趣味は食べること。

2010年2月3日

皮膚科って・・ 新着

 1月21日から5回「医療ルネサンス かゆみの治療」を担当したのですが、皮膚科って難しい診療科だなぁと思いました。行けば塗り薬は出してもらえるのですが、結局塗るのは患者自身。よくわからないままに塗って、よくわからないままにやめてしまう。。治らないから「どうせ治らない」と思う。かゆみのつらさは人とはなかなか共感できないので、どうせほかの人にはわからないだろうと思う。「どうせ」という気持ちが染みついて、低空飛行を続けながら毎日を送る。。

 これって私のことなんです。私は物心ついた時からアトピー性皮膚炎で、ステロイド軟こうを塗っても湿疹が消えたことはありませんでした。「大きくなったら治るよ」と言われ続けて、治らないままに成人しました。いつもどこかがちりちりとかゆく、世の中の大半の人はかゆくないんだなぁと思うと不思議な感じがしました。

 会社に入って一時、ものすごく悪化した時期がありました。体中に穴が開いて、皮がべろっとむけて皮膚から汁が出る、顔は毛細血管がぱんぱんに開いた感じで熱くて真っ赤になっている。。外に出るのがつらく、皮膚科に行けばステロイド軟こうを出してもらうのですが、塗っても全然改善しません。私はなぜか軟こうを塗ると、皮膚が熱をもって余計にかゆく感じるので、薬を塗るのも大変でした。

 暴風雨の中にいるような感じで、いったんかゆみが襲来すると、ほかのことは何も考えられません。ひっかかないように、皮膚に爪を立てるのですが(もちろん爪はパツンパツンに切ってあります)、その力が半端じゃない力で、左手で、皮膚に食い込んだ右手を離そうと引っ張るのですが、強く引っ張っても指をはがせないんです。

 そして、かゆみが通り過ぎると、「じー」っと耳鳴りのような音が頭に響いて、かいてしまった後悔で、うちひしがれたような気分になるんです。その繰り返しでした。

 最悪の状態から抜け出られたのは、皮膚科でもらった薬ではなくて、ニンニクでした。ニンニクを薄くスライスして全身に貼るんです。私はニンニクが嫌いなのですが、何となく思いついた方法で、複数の専門医から「そんなの治るはずない。刺激でかえって悪化するよ」と言われるのですが、なぜか嵐が去って、「ただのアトピー性皮膚炎」に戻りました。(試してみる場合は、悪くなったらただちに中止して下さい)。

 そんなわけで、「どうせ治らない」という気持ちはますます強くなって、皮膚科に行くこともなく、ひどくなると市販のステロイド軟こうを塗るくらいで、治らないまま10年が過ぎました。

 
 

 

館林牧子 2004年から医療情報部。子供や女性の病気を主に担当。4歳の双子の母。趣味は食べること。

2010年2月2日

人に言えないかゆみ

 1月21日からの医療ルネサンス「かゆみの治療」の3回目では、「病気が原因で起きるかゆみ」についてご紹介しました(記事はこちら)。普通、かゆみというとアトピー性皮膚炎とか、虫さされとか、乾燥肌とか、皮膚に原因があるものが多いのですが、腎臓病や肝硬変、がん、貧血などいろいろな病気を持っていると、かゆみが出ることがあるというお話でした。

 普通、かゆいという時は、皮膚に刺激や炎症が起きていて、皮膚につながっている神経を通じて、「かゆい!!」という信号が脳に送られて、かゆみを感じるのですが、内臓の病気で起きるかゆみは、体内で、かゆみを起こす物質が作られて脳のかゆみを感じる部分に直接働きかけるのではないかと考えられているそうです。逆に言うと、皮膚に特段、原因がないのに、かゆくなるというのは、病気のサインかもしれないわけです。放っておかず、一度、病院で診てもらった方がいいかもしれません。

 さて、腎臓病や肝臓病など、病気のかゆみは全身のいろいろなところがかゆくなるのですが、このほかに、陰部がかゆくなることもあります。

 順天堂大浦安病院長の高森健二さんによると、男性の場合は、前立腺肥大症や尿道が狭くなることで陰部がかゆくなることがあるそうです。女性の場合は、卵巣機能の低下やストレスなどでかゆくなるそうです。膣トリコモナス症という性感染症でかゆくなったり、白いおりものが出てかゆくなったりもするそうです。

 肛門の周囲がかゆくなることもあります。便秘や下痢、痔(じ)、便に含まれる化学物質、ギョウ虫など原因は様々。おしりの周りを清潔にしようと、温水洗浄便座を使い過ぎてもかゆくなることがあるそうです。

 こうしたかゆみをなくすには、まず「かゆみの原因を治療する」ことだそうです。何となく、言い出しにくいかゆみなのですが、悩みは深刻。やっぱり、これも医師に相談すると解決策があるかもしれませんね。

 
 

 

館林牧子 2004年から医療情報部。子供や女性の病気を主に担当。4歳の双子の母。趣味は食べること。

2010年2月1日

かゆみが出やすいのは、どこ?

 こんにちは。1月21日からの医療ルネサンス「かゆみの治療」を担当した館林です。記事に反響をいただいたので、ご紹介しつつ、かゆみについて書いていきたいと思います。(記事は医療大全でごらんになれます)

 1回目に出ていただいた方は78歳。年とともに肌が乾燥気味になり、足のすねがかゆくなるようになりました。かいていると足にいくつもの丸い湿疹ができ、背中や胴回りに赤いぶつぶつが広がってかゆみに悩んでいらっしゃいました(記事はこちら)。ステロイドを塗って湿疹を抑え、今は保湿剤で肌を良い状態に保っていらっしゃいます。「同じような状態だ」という方から何人かメールやファクスをいただきました。

 そこまでひどくない方からの反響もありました。70歳代の男性は、冬だけかゆみが出て、春には治まるそうです。皮膚科では「老人性皮膚掻痒症(そうようしょう)」と言われており、一番かゆいのが足で、かくと赤く湿疹ができるそうです。

 「皮膚掻痒症」というのは、見た目には皮膚に何もできていないのに、かゆみを感じる状態です。年をとるとどうしても皮膚は乾燥しがちで、乾燥のためにかゆくなります。これが「老人性皮膚掻痒症」です。京都大皮膚科の宮地良樹教授によると、足のすねの前側の骨が触れる部分は特に皮膚が薄く、かゆくなりやすいのだそうです。知らなかったので、ちょっと驚きました。

 年齢とともに生じる乾燥肌対策としては、こまめに保湿剤を塗る、熱いお風呂に入らない、お風呂でごしごしこすらない、電気毛布は使わないなどの方法がよく記事になりますが、宮地教授によると、ちょっとでも湿疹ができたら、早めにステロイド薬を塗って、湿疹を抑えることも大切だそうです。ステロイド=アトピーと思い込んでいたんですが、いろいろあるんだなぁと思いました。

 
 

 

館林牧子 2004年から医療情報部。子供や女性の病気を主に担当。4歳の双子の母。趣味は食べること。

2010年1月28日

バタバタでシンガポール

 急きょ取材で1月25日からシンガポールに行くことになった。医療関連産業の取材である。

 残存期間が足りず、更新したパスポートを出発前日に受け取る綱渡りの日程だ。パスポート交付のおねえさんもあきれた様子だった。

 すべてのアポイントが取れた。多数の方々にお世話になった。皆様、本当にありがとうございました。

 海外取材には、あまりよい思い出がない。

 前回の海外は遠い昔のことで、2001年12月。9.11のテロ後の観光客の減少に悩んだイスラム教のトルコに行った。そのままパキスタンに移り、難民キャンプの実情などを取材する機会を得た。

 難民キャンプから都市部への帰り道。車のタイヤが障害物にとられ、車が道からコースアウト。荒れ野で車が高速でスピン。いやはや本当に死ぬかと思った。この件は、いらぬ心配をさせるので家族に言っていない。

 英語が不得手なので、かなりたどたどしく話していたら、パキスタンの若者に「Your English is broken.」と言われた。欧米の記者がかっこよく見えた。

 ともかく、バタバタでシンガポールである。電車の乗り方も分からないし、タクシーの止め方も分からない。ついさっきまで時差が、何時間あるかもわからなかった。しかし今度は、死ぬ危険はほとんどなさそうだ。そんな開き直った気持ちである。

 
 

 

渡辺理雄 2008年12月から医療情報部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。今年の目標は、セ・リーグV4(ジャイアンツ)。

2010年1月26日

障がい者に冷たい国です、ニッポン

 脊髄(せきずい)損傷で歩くことができなくなった身体障がい者に対するリハビリテーションの一つに、つり上げ式歩行訓練という方法がある。

 体をつり上げて、足にかかる体重の重みを軽減した状態で電動のベルトを歩くリハビリだ。昨年12月17日の読売新聞夕刊「医療面」で紹介した。(記事は「医療大全」でご覧になれます

 取材の時、話を聞かせてもらった脊髄損傷の患者さんは、このリハビリに出会えたことを感謝していた。

 私も体験したが、なるほど、足は楽々動く。これで少しずつ体重がかかる分を戻していけばいずれ歩けるようになるかもしれないと思った。安全ベルトで体を支えるので、転倒する心配もなくリハビリに専念できる。

 このリハビリ方法を長く研究していた、名古屋市の中部労災病院に付設する労災リハビリテーション工学センターが今年3月末で閉鎖される。

 独立行政法人の労働者健康福祉機構のリストラ策の一環である。2007年12月の閣議決定で決まったとのこと。不覚にして知らなかった。

 このセンターでは週2回、合計20人の患者さんがリハビリに通っていた。中部労災病院にもつり上げ式のリハビリ機器はあるが、病院の限られたスタッフで対応できるかどうかは不透明だ。

 
労災リハビリテーション工学センターの元田さん。研究は是非続けてほしい

 臨床応用研究部長の元田英一さんは「一貫した研究が続けられないのが残念」と話していた。独自に開発したリハビリ機器は廃棄処分になるかもしれないという。

 電動で手が開閉し、モノがつかめる筋電義手でお話を聞いた兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院リハビリテーション科部長の陳隆明さんはこう話していた。

 「もしも手がなくなった時のことを想像してみてください。日本では労災で両手をなくした時に片手しか支給しない。片手を無くした時に支給する制度も研究目的でようやく始まったところ。障がい者に冷たい国だと思わないですか」

 冷たい国だと思います。

 国は「無駄」減らしに必死だが、たちの悪い「無駄」を見極めてほしい。またそうやって声を上げて、伝えて行かなくてはと思う。

 
 

 

渡辺理雄 2008年12月から医療情報部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。今年の目標は、セ・リーグV4(ジャイアンツ)。

2010年1月25日

体に悪い? 超高層マンション住まい

 
春のマンションの風景です

 超高層マンションに住んで12年になる。

 新しいモノ好きの田舎者ゆえに、「高い場所に住むのもいいなあ」という安易な考えで引っ越してしまったわけだが、住んで初めて気づいたことがある。

 「高層マンションは健康に悪い」という研究がけっこうな数であることだ。うかつでした。

 研究結果をまとめると、

 「高い階に住んでいるほど、血圧が高い」
 「母と子が密着しすぎて、子どもの親離れに影響する」
 「高層階ほど、流産が多くなる」など。

 「高層マンション 子育ての危険」のタイトルの大学研究者が書いた本もある。

 まだ読んではいないが(もう住んでいるのでどうしようもない)、

 「頭上からゴミ、おもちゃ、食器などが降ってくる!」
 「風が吹けば子どもの成長発達が遅れる」
 「高層マンションには自然がない」
 「高層マンションでの人付き合いは難しい!?」

 といった小見出しの目次を眺めていると、

 「これを読んでいたら、まず住まないな」と思ってしまう。

 研究ではないが、ヒトのうわさもこわいもので、

 「あの超高層マンションはお化けマンションといわれているんだって。飛び降りが多いんだってよ」

 と、取材で話を聞いていた人に言われて、

 「いやあ、それはうちのマンションです」とかいえずに、「へえー」とニコニコ笑ってすませたこともあった。

 ともかく、12年住んで思うのは「フツーのマンションですよ。本当に」ということ。

 建物自体は50階以上あるが、我が家は9階ということもあるだろうが。

 健康の影響もあまり感じていない。高血圧でもないし、子どもの発達が特に遅れていることもない…と思う。

 子どもはマンション内の内線で友達を探しては、外に遊びに行くし、日常的に頭上からゴミ、おもちゃが降ってくることもない。妻はマンション内の付き合いでけっこう忙しそうだ。

 研究は、何千人という集団で調査して統計的に健康や精神発達に明らかな差がでるかどうかを調べるものなので、これは私個人の感想にすぎませんが、どうなんでしょうか、このギャップ。

 かといって、超高層マンションを住まいとしておすすめするかといえば、いまは「一戸建てがいいんじゃない」と答えると思う。

 理由は、資産価値としてはあまりよくないとか、長周波地震がこわいとか、健康や子育てとは、また別の要因からだ。

 とはいえ、超高層マンションと健康、子育ての研究には、とても興味がある。

 どなたかまた、高層マンション住民を対象に大規模な研究調査をしてくれないでしょうか。

 
 

 

渡辺理雄 2008年12月から医療情報部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。今年の目標は、セ・リーグV4(ジャイアンツ)。

2010年1月23日

倒れた愛犬が復活した理由

 

 実家で飼っているイヌ(アドちゃん、メス、ミニチュアダックスフント)=写真=が昨年夏ごろ、倒れた。

 母の話によると、4本の脚のうち3本が思うように動かなくなり、体を引きずって歩くようになってしまった。

 アドちゃんは推定14歳超。ヒトでいうと、かなりのおばあちゃんイヌである。

 ペットの世界も高齢化が進んでいるようで、歯周病や、がんが問題になっていると獣医さんに聞いたことがある。

 イヌも、生活習慣病に気を付けた食事や運動を心がけなくてはならないわけだが、アドちゃんの健康管理はうまくいっていたとはいえない。

 年をとっても食欲旺盛のアドちゃんは肥満ぎみ。ダイエットでやせることはやせるのだが、リバウンドしてまた元通りになるのを繰り返していた。

 2、3年前に、けいれんして白目をむいて倒れていたこともあった。それ以来、心臓の薬(抗不整脈薬?)を服用していた。

 今回はいよいよダメかも、と思った母は、アドちゃんが望むままに、通常より高いドッグフードを与えた。

 しばらくして母に様子を聞くと、なんとアドちゃん、また元通りに歩けるようになったという。

 うまいモノを連日食べたせいか、やたら活動的になり、足を引きずっても無理やりにでも動いた。どうも、それがいいリハビリになったようだ。

 正月には、雪の中を喜んで駆け回っていたんだとか。母は「薬もやめたのよ」と話していた。

 およそ、医療情報部のブロクの話題らしからぬ非医学的な話だが、ここはイヌの話ということで、お許しを。

 まあ、ともかく、よかったね、アドちゃん。

 
 

 

渡辺理雄 2008年12月から医療情報部。脳卒中、リハビリテーション医療などを取材している。今年の目標は、セ・リーグV4(ジャイアンツ)。

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1997年発足、記者15人で日々取材中
長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療情報部員が交替で執筆します。
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